阪神の内回り芝2000mで争われたG3競走。芝は開幕初日でAコース使用になり、良発表でも雨が残って少し水を含んだ状態だった。
ハナを奪ったのはトウケイヘイローで、これをメイショウナルトがマークする形になった。3ハロン通過は35秒6、1000mは59秒5で、平均よりも速いペース。中盤を過ぎても12秒以内のラップが続き、全体に底力を要求されるタフな競馬になった。
勝ったのは5歳のラブリーデイ。中団で脚をタメ、直線で一気に抜け出して2馬身差で快勝した。勝ち時計は1分58秒8。レースの後半1000mは59秒3で、上がりは11秒8-11秒5-12秒1の35秒4だった。
◆1着 ラブリーデイ(2番人気・10番枠) 岩田康誠
10番枠からのスタート、ヤネは3歳のアーリントンC(5着)以来の騎乗となった岩田康誠。ゲートを出て少し頭を上げたが、岩田がうながしてすぐに行き脚がついた。
馬群は先団がバラけてタテに長くなった。そんな中で、ジワッと流れに乗って中団の外というポジション。2馬身ほど前に1番人気のエアソミュールがいて、岩田はこれを意識している感じだった。向正面では気持ちが入ってガッチリと抑えられていて、完ぺきな道中とは言えなかった。
3コーナーあたりから落ち着いて走るようになった。4コーナーに来て岩田が軽く手を動かして気合を乗せ、早めにソミュールに並びかける。直線に向いたところでグッと勢いがついていて、本気で追っていないのに残り300mで先頭に立った。
抜けてから岩田がしごきに入り、ラブリーはしっかりと脚を使って後ろを少し離す。そのまま脚色を乱すことなく、2馬身差で危なげなく押し切った。勝ち時計は前出の通り1分58秒8(良)で、自身の上がりは34秒8だった。
道中の気合が目立ったし、楽に抜け出した迫力は目を引いたし、時計は優秀だったし、とにかく強い競馬だった。天皇賞(春)を使ったあとに宝塚記念に直行しそうな感じだった点が心配だったが、問題なく結果を出した。
宝塚記念は中2週で6月28日。速い時計で走った分でさすがに疲れが出るだろうから、今後のケアが大きなポイントになる。そのあたりは、今後の攻め気配を注視していきたい。力を出せる状態に持っていければ、争覇圏に食い込むことも可能だろう。
◆2着 マジェスティハーツ(8番人気・6番枠) 武幸四郎
6番枠からのスタート、ヤネは2つ前のマイラーズC(15着)で跨っていた武幸四郎。ゲートの出は上々で、幸四郎が抑えて下げてラチ沿いに寄せる。道中は後半3番手で折り合いに専念する競馬になった。
3コーナーを過ぎて外が動いてもジッと我慢。気の悪さを出したか少し頭を上げるシーンがあったが、大きなロスにはならなかった。4コーナーでもタメたままで、直線で少し外に動いて馬群に突っ込んだ。
馬群に入ったといっても、バラけ気味でスペースはあった。ただ、ここから同馬の弱点である“内にモタれる面”を出してしまう。幸四郎がしっかり追うことができず、残り200mを過ぎてムチを入れられてもモタれたまま。満足に手を動かせず、そんな状態でも脚を使って2着に上がった。
モタれる面が深刻だし、ムラがあって安定しないのも問題である。ただ、今回もそうだが、追いづらくなりながら伸びてくることがあるのだから能力は相当なものだ。今が5歳の春。真っすぐ走れるようになってくれるといいが…。
◆3着 アズマシャトル(4番人気・4番枠) 和田竜二
4番枠からのスタート、ヤネは同馬に乗って(1.2.0.1)だった和田竜二。ゲートの出は普通だったが、行き脚が平凡で自然と下がる。中位より後ろで後方4番手の追走になり、道中はずっと和田がうながして置かれないようにしていた。
そんな感じのままレースが進み、後半のコーナーで外をジワッと詰めていく。4コーナーではソミュールを右前に見る形になっていて、直線に向いて和田が追い出しに入った。
マジェスティハーツと同じように内にモタれるところがあるが、今回は大きくモタれることはなかった。渋太く伸びて残り100mでソミュールを交わして2番手に上がり、余力がなくなっていた分でマジェスティに差されて3着に落ちた。
復帰戦の新潟大賞典は太かった分で12着と動けず、今回は12キロ減の500キロで走れる体になっていた。気性面で若さがあるが、4歳馬で徐々にでも成長してくるだろう。
◆4着 エアソミュール(1番人気・3番枠) M・デムーロ
内の3番枠、ヤネは前のレースの大阪杯(3着)に続いて2度目の騎乗となったミルコ・デムーロ。ゲートで怪しい格好をしていたが、まずまずのスタートを切ることができた。ミルコは無理には押さなかったが、馬に気持ちが乗ってスーッと出ていく。結局、離れた4番手の外というポジションになった。
最初のコーナーは力んだ走りで、向正面に入って少し落ち着いて走るようになった。それでも完全にハミが抜けたという感じではなく、スタミナのロスがあった。
後半のコーナーに入り、4コーナーに差しかかってラブリーが突いてくる。一緒になってポジションが上がり、直線に向いてミルコが追いに入った。少し頭が高くなって反応はひと息。ラブリーに抜かれてからそれなりに頑張っていたが、最後は脚が上がって4着に落ちた。
ハミを噛んで走り、早めにラブリーに被されたことを考えれば、力を示した4着だったと言える。普通ならバタバタになっているところだ。
スタミナ自体はあるし、血統面の問題からも角居勝彦師が中距離にこだわるのはわからなくもない。が、この気性だとマイルを走らせるしかないだろう。ソミュールのことを第一に考え、ソミュールが無理なく、気持ちよ競馬ができる選択をしてもらいたいものだ。