レース回顧 オークス

府中の芝2400mで争われた牝馬三冠の第2弾。芝は開催5週目で、Bコース使用2週目だった。内めが少し荒れて見えるが、問題なくスピードに乗れる状態で、外差しが利く状況ではなかった。

ハナを奪ったのは、外の16番枠からしごいて出していったノットフォーマル。2ハロン目が10秒6と速くなったが、最初のコーナーに入ってペースを落とし、道中は淡々と流れた。3ハロン通過は35秒6で、1000mは61秒3だった。

3コーナーから少しピッチが上がり、直線は体力を残すことができた者が決め脚比べを演じることになる。1番人気のルージュバックが早めに先頭に立って押し切りを図るところ、ミッキークイーンが豪快に伸びて差し切るといる結末になった。勝ち時計は2分25秒0で、レースの上がりは11秒3-11秒6-11秒9の34秒8だった。

◆1着 ミッキークイーン(3番人気・10番枠) 浜中俊
10番枠からのスタート、ヤネはそれまでの4戦すべてで手綱を取っていた浜中俊。ゲート内で集中力を欠いて左を向いていて、そのまま少し左に出る。出負けしたというほどのものではなく、すぐに行き脚もついた。

気持ちが乗っていたので浜中が手綱を抑え、周りをうかがいながら内に寄せていく。結局は中位の後ろの後方寄りの追走になり、最初のコーナーで外が抜けた。外といっても大きなコースロスはなく、落ち着いた走りで体力を残すことに成功した。

そのままレースが進み、3コーナー前に来ると外から被されて馬群に入る形になる。無理させたわけでなく自然と前との差が詰まり、直線入り口で浜中が外に動かしていった。その分でまた少し前と離れた。

直線で追われてからは、重心が下がり切らず、少し頭が高くなってモタついていた。それでも脚は使っていて、ジワジワと差を詰めてくる。残り200mで先頭に立っていたルージュバックとの差は2馬身ほどになっていた。

ミッキーはそこからも根性を出して伸びる。残り100mでルージュに並び、ここで左手前に替わった。それでも渋太く脚を使い、ルージュを抑えて栄光のゴールに飛び込んだ。着差は3/4馬身で、勝ち時計は前出の通り2分25秒0(良)。自身の上がりは34秒0だった。

桜花賞と同じ日(4月12日)に行われた忘れな草賞を勝ち、その後は近場のノーザンファームしがらきに放牧に出されていた。栗東に戻ったのが5月5日。大きく馬体は増やせなかったが(今回は430キロ)、攻めで負荷をかけながら減らさないことに成功していた。

CWでの最終追いは濃い霧で時計は計測不能。ただ、直線の脚色は確認できて、強めに追われていたし、推進力があって実にいい動きをしていた。体も細く映らなかった。

タイトルを手にし、夏は休養にあてることになった。秋はまず秋華賞(10月18日)を目指すことになる。体は成長してくるだろうし、さらなる飛躍が楽しみだ。

◆2着 ルージュバック(1番人気・14番枠) 戸崎圭太
外の14番枠からのスタート、ヤネは主戦の戸崎圭太。ゲートが開いて少し右に出て、戸崎は手綱を緩めて馬の気持ちに任せる姿勢を見せる。ルージュは気持ちが乗ってスーッと前に行き、好位の後ろの外につけた。

最初のコーナーに入って落ち着いて走るようになり、ペースが緩んだ中盤も強く行きたがるようなことにはならなかった。ちなみに、ルージュの内では桜花賞馬レッツゴードンキがまともに掛かって岩田が抑えるのに苦労していた。

後半のコーナーもスムーズで、直線入り口から戸崎が手を動かしていく。直線は少し外を伸ばす形になったが、重心が下がり切らず、何か空回りしている感じ。それでも脚は使っていて、残り200mで先頭に出た。

150mで左手前に替え、戸崎が内からムチを入れると外にヨレてしまう。気持ちの強い馬なので頑張っていたが、肉体的には限界だったのだろう。ミッキーに交わされ、競り合っていたクルミナルは押さえて3着で入線した。

断然の人気を背負っていた桜花賞で9着に敗れ、その後は福島県のノーザンファーム天栄に放牧に出されていた。牧場の坂路で5本追ったとのことだったが、美浦に戻ったのは5月12日でレースの12日前。16日にウッドで5ハロン66秒で追われ、20日の最終追いは時計になったのが4ハロンからで、内めを通って52秒台-12秒だった。

桜花賞の追い切りの時と同じように気合を前面に出してグイグイと伸びていたのだが、「まだ体がついてきていないのかな」というところがあった。大竹正博師は馬体を減らさないことを極度に気にしている感じだったし、引っかかる部分はあった。

レースで持っていかれることにならなかったのは、体ができていない分という可能性がある。直線も頭が上がる感じでまっすぐ走れなかった。新馬を勝った456キロで、今回は450キロ。骨格からして、あと10数キロは増やしたいところだ。

今度の動向は未定。無理に使う必要はなくなったわけで、しっかりと休ませて自然の成長を待つようにしてもらいたい。

◆3着 クルミナル(6番人気・17番枠) 池添謙一
外の17番枠からのスタート、ヤネは主戦の池添謙一。ゲート入りの段階でヒドく手間取り、他馬を待たせ、目隠しをされてようやくゲートに入った。発走は4分遅延した。

ゲートが開くと、頭が上がってダッシュがつかない。大型馬でトモがしっかりしていないところがあり、ゲートがうまいと下手とかでなく、どうしてもこうなる。池添は押してポジションを取りにいき、中位の外に上がった。

強く押したことでさすがに行きたがったが、コーナーに入って徐々に落ち着き、2コーナーでは息が入る状態になっていた。向正面はスムーズな走りで、2馬身ほど前にいたのがルージュ。池添がルージュをマークして競馬を進めているのは明らかだった。

後半のコーナーではルージュを追うように少し上がり、直線で入って叩き出した。完全に固まった感じの走りではないが、渋太く脚を使ってくる。が、ルージュに並べそうで並べなかった。残り150mを過ぎてミッキーに交わされ、最後は寄られて狭くもなって3着に終わった。脚が残っていたわけではなかった。

あれだけ外を回って争覇圏に食い込んでくるのだから力がある。池添はルージュをマークするにしても、どこかで内に入れようとするとか何か工夫すべきだった。まあ、最近の池添は、外ばかり回すみっともない騎乗が目立って多い。信頼できないジョッキーになっている。

今回は桜花賞(2着)から10キロ減って478キロ。1月の新馬戦が496キロで、それよりも18キロ小さい数字である。実際、トモが薄くて少しさびしく映った。5月12日の遅生まれ。夏を越して実が入れば、もっと高いパフォーマンスを見せるようになるだろう。

◆10着 レッツゴードンキ(2番人気・1番枠) 岩田康誠
最内1番枠からのスタート、ヤネは主戦の岩田康誠。ゲートを五分に出たのはいいが、すぐに気持ちが入りすぎる状態になり、岩田が抑えにかかった。好位の少し後ろのインに収まり、ずっと引っ張ったまま。向正面に来ても同様で、すでに後半に伸びることができるのか微妙という感じになっていた。

後半のコーナーを越し、直線に向いて内めを叩き出す。やはり弾けることはなく、地力がある分で少し抵抗したものの、最後は完全に脚が上がって10着に落ちた。

母のマルトクはダートの短距離馬。マイルの距離でも引っ掛かって安心して見ていられないところがあり、勝った桜花賞はハナに行ったことで何とかハミが抜けたものだった。

陣営も坂路(栗東)で大きめを熱心に乗るなど、テンションが上がらないことを意識した調整をしてきた。が、結果は失敗。結局、2400mの競馬に対応するのは難しかったということだろう。