レース回顧 平安S

京都のダ1900mで争われたG3競走。ダートは良でパサパサだったが、そうタフな状態ではなかった。スピードとパワーを兼備した上級のダートホースがそろっていたとあり、レースが流れているのに前が止まらない競馬になった。

勝ったのは5歳のインカンテーション。最内1番枠からハナを奪い、直線最後までパワフルな走りを崩さずに押し切ってみせた。1分55秒1という、非常に優秀な時計での勝利だった。

◆1着 インカンテーション(4番人気・1番枠) 内田博幸
最内の1番枠、ヤネはフェブラリーS2着に続いて2度目の騎乗になった内田博幸。一完歩めでグッと出られる方ではなく、ゲートが開いて左にヨレで出た。内田が態勢を戻し、行き脚がつくと手綱を抑えた。

好位のインに収まりそうな感じだったが、1コーナー前でスイッチが入ってしまい、スーッと前に迫る。結局は1コーナで内からハナに出ることになった。一頭になってからも少し気持ちが乗りすぎていたが、向正面に入って抑えながらでもペースを落とすことができた。3ハロン通過は35秒8で、1000mは60秒8だった。

3コーナーに来ると後ろにいたクリスターオーが迫ってきて、ここから逆に息が入る感じになった。ただ、ラップが落ちたわけでない。残り1000mからの3ハロンは【11秒9-11秒7-12秒0】だった。

2番人気のスターオー、その直後に1番人気のアジアエクスプレスと強い2頭にマークされていて、それでも4コーナーでインカンの手応えは楽だった。直線に向いて少し待ってから内田がしごき、グッと伸びてリードを取る。しっかりした走りは最後まで崩れず、危なげなく押し切ってみせた。

着差は1馬身3/4。勝ち時計は前出の通り1分55秒1(良)で、上がりは36秒7だった。ちなみに、1600mを1分36秒5、1800mを1分48秒9と速い数字で通過している。

今回は3ヵ月ぶりの実戦になり、馬体重はプラス10キロの498キロだった。太いことはなくてドッシリと見せ、充実ぶりが光っていた。これまで右回りだと少しモタつくところがあったが、そんなところはまったくなかった。

次は大井の帝王賞(6月24日)。これまでは「コーナーがきついコースでどうか」という理由で交流重賞は避けてきていた。帝王賞では初めて交流重賞、それもJpnIを走ることになる。

コース形態的には大井なら問題ないはず。ただ、ナイター競馬は経験がない。今回もフェブラリーSも力むところがあったので、落ち着いて走れるかがポイントになるだろう。実力的には交流GIを獲れる可能性があるところまで力をつけたと感じる。5歳の今年は本当に楽しみだ。

◆2着 クリノスターオー(3番人気・11番枠) 幸英明
11番枠からのスタート、ヤネは同馬に乗って6勝している幸英明。ゲートが開いて軽くアオッて出たが、すぐに行き脚がついてハナに出かかった。1コーナーで内からインカンが抜いていき、2番手に収まる形になった。

向正面の中ほどに来ると外からタガノゴールドが上がってきたが、離れていたので反応することはなかった。3コーナーで後ろにいたアジアが少し動き、インカンに迫っていく。並ぶまではいかず、4コーナーから幸が気合を入れ始めた。

直線でインカンを追ったが、相手がグッと伸びて離されてしまう。自身も少し気を抜くところがあった。それでもバテはせずにしっかりと脚を使い、2着を守ってゴールした。昨年の当レースでは1分56秒6で勝利を収めていて、それより1秒以上も速い1分55秒4で走破した。

アンタレスS勝ちに続いて質の高い走りを見せ、ブリンカーの効果をうかがわせた。ただ、まだフワッとするところがある。物凄い馬体をしていて、充実期に入ったのは間違いない。インカンと同じ5歳世代。一緒になってダート戦線を盛り上げてくれるだろう。

◆3着 ローマンレジェンド(5番人気・12番枠) 岩田康誠
12番枠からのスタート、ヤネは主戦の岩田康誠。ゲートで少しトモを滑らせ、岩田が押して出していく。スピードの乗りは今ひとつという感じだったが、好位の後ろまで上がって馬群の中を進む格好になった。道中の走りはスムーズだった。

3コーナー前に来て前の組のピッチが上がると、モタついて岩田の手が動くようになる。3コーナーで置かれ気味になり、岩田がしごいて外からついていかせた。直線は弾け切れないながらも渋太く脚を使う。アジアを交わし、ジリジリとスターオーに迫って、これとクビ差の3着で入線した。

インカン、スターオーより1キロ重い58キロを背負っていたことを考えると中身は濃かった。モタついたのは58キロ分があったし、アンタレスSを使って2番が利かないところがあることも影響したかもしれない。7歳になったが、まだまだやれる。

◆5着 アジアエクスプレス(1番人気・13番枠) 戸崎圭太
13番枠からのスタート、ヤネは主戦の戸崎圭太。ゲートの出は五分で、行き脚もついてスーッと前にいく。戸崎が内のスターオーの出方をうかがい、控えて3番手につける形になった。

向正面の中ほどでタガノゴールドがマクッてきたが、リズムが狂った感じはなかった。タガノは3コーナーで後退し、ふたたび3番手で前の2頭をマークして進む格好になった。

4コーナーでは手応え十分。が、直線で追われてグッと加速しない。すぐにローマンに並ばれ、バタッとこないまでもジリ貧といった感じの走りで5着に終わった。

戸崎が丁寧に抑えていたものの、前の2頭よりも外を走ったことでロスはあった。1900mが少し長いというのもあるかもしれないが、内を回っていれば結果は違ったはずである。こちらはまだ4歳。2歳時に朝日杯フューチュリティSを勝っているが、早熟で終わらず、もっと強くなっていきそうだ。