府中の芝1600mで争われた牝馬の最強マイラー決定戦。芝は開催4週目になり、前の週までのAコースからBコース使用に替わっていた。内めは少し荒れた状態で、土曜に降った雨は完全に乾いていたと考えていいだろう。
大外18番枠に入っていたミナレットが好スタートを切ってハナを奪う。騎乗していたのは江田照男で、タメようとせずに後ろを離して大逃げを打った。3ハロン通過は34秒3で、1000mは56秒9と速いラップになった。
直線は2番手にいたケイアイエレガントがミナレットを交わしにかかり、最後にストレイトガールが強襲するという展開になった。勝者は5番人気だったストレイト。12番人気のエレガントはアタマ差の2着で、18番人気のミナレットが3着に残った。3連単は2,070万5,810円という特大の万馬券になった。
◆1着 ストレイトガール(5番人気・5番枠) 戸崎圭太
内めの5番枠、ヤネはテン乗りで戸崎圭太。ゲートが開いてポンと好スタートを切り、出て行こうとするのを抑えて下げる。前が流れたこともあり、離れた5番手を進むことになった。
内にベルルミエールがいて、外は抜けている形。少しハミを取っていて、闘争心が強く出すぎているように見えた。コーナーに入っても気持ちが乗っていたが、息が入っていないという感じでもなかった。
直線に向いて戸崎は抑えたまま追い出しを待ち、残り400mの前から緩めて追いを強くしていく。ストレイトは徐々に勢いを増し、200mの少し前で2番手に上がった。が、200mの時点で先頭との差は5馬身はあり、つかまえるまでは厳しそうなムードだった。
それでもストレイトは手を緩めずにグイグイと伸びる。100mでエレガントが先頭に出ていたが、さすがに少し脚色は鈍っていて、最後で鋭く交わして1着のゴールを決めた。
着差はアタマで、勝ち時計は11年にアパパネがつくったレースレコードとタイになる1分31秒9(良)だった。自身の上がりは33秒0で、ラスト1ハロンを11秒3前後で駆けている。
6歳にして待望のGI初制覇。でも、昨年のヴィクトリアマイルでは直線で前が詰まり通しになりながら0秒1差の3着に伸びていて、少しスムーズだったらこのレースで突き抜けてタイトルを獲っていた。
今回、気迫あふれるレースぶりで、さらにレベルアップしている印象さえ受けた。引き続きトップレベルで活躍していくのは確実であり、牡馬と野の対決も楽しみである。今後の予定は決まっていない。
◆2着 ケイアイエレガント(12番人気・7番枠) 吉田豊
7番枠、ヤネは同馬に乗って5勝している吉田豊。ゲートが開いて五分のスタートを切り、吉田がしごいて出していく。できるなら逃げたかったはずだが、外のミナレットのダッシュがあまりに速く、すぐに吉田があきらめて2番手にとどめた。下手に競り合うことにならなかったのは大きかった。
ミナレットがスイスイと離していく中、無理には追いかけずに脚をタメていく。エレガント自身の1000m通過は57秒9。遅い数字ではないが、結果的にちょうどよかったのかもしれない。
直線に向いて追われると、渋太く脚を使ってジワジワとミナレットとの差を詰めていく。残り200mで2馬身ほどまで迫り、100mで並んで抜け出しにかかった。さすがに十分な余力が残っていわわけではなく、少し鈍ったところをストレイトに差された。
負けたといってもアタマだけ。自身も1分31秒9で走破していて、それも正攻法の立ち回りでの結果なのだから価値が高い。もともとワンペースの走りでも持久力に富んだタイプ。昨年のヴィクトリアマイルは使い詰めで上積みがない状態だったが、それでも見せ場をつくって0秒3差の6着に頑張っていた。
今年は3月15日の中山牝馬Sを捻挫で自重し、4ヵ月ぶりの実戦という状況だった。が、逆にいい休養なったようで、攻めで活気ある動きを見せていた。当日は10キロ増の530キロ。少し腹回りがダブついている感じもあったが、中身はできていたのだろう。ストレイトと同じ6歳馬。こちらも、まだまだ頑張ってくれそうだ。
◆3着 ミナレット(18番人気・18番枠) 江田照男
大外18番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで江田照男。ゲートが開いて気合をつけられると一気にスピードに乗り、すぐに一頭だけ飛び出す。周りも追いかける気はなくなり、早々に単騎逃げの形が確定した。
道中は江田があまり手綱を引っ張らずに気持ち良く走らせ、前出の通りの速いラップを刻んだ。コーナーに入ってさらに少し差を広げ、直線に向いたところで2番手のエレガントとの差は5馬身ほどあった。
直線に入って余裕を持たせつつ追い、残り300mからしごいてムチで叩いた。徐々に鈍る感じなってエレガントが迫ってきたが、バタッとはきていない。最後はさすがに止まったが、3着に残ってゴールした。
もともと軽快なスピードがあり、苦しくなってから粘り強いタイプだった。が、GIのステージで馬券に絡むパフォーマンスを見せるとは少し驚いた。下見所では少し太く映るぐらいに見えたのだが、充実していたのだろう。地味に地力を底上げしていて、今後も注目される。
◆6着 ヌーヴォレコルト(1番人気・15番枠) 岩田康誠
外の15番枠からのスタート、ヤネは主戦の岩田康誠。ゲートが開いてダッシュは速くなかったが、ジワーッと流れに乗って中位の少し前の外に上がった。右前にストレイトを見る形で、前半は抑えつつの手応えだった。
コーナーは苦労しているというわけではないが、脚を使ってついていっているような感じだった。直線入り口で岩田が手を動かしていて、反応は今ひとつ。直線でしごかれてからもグッとは伸びず、前にいたストレイトに一気に離されてしまう。それでもジリジリとは脚を使ったが、6着という結果に終わった。
マイルの競馬でレースが流れ、走ったというより、“走らされた”という感じになった。自身は1分32秒5で走破しているわけだし、内容が悪かったことはない。でも、今後、マイルを使うことはなさそうだ。宝塚記念(6月28日)であらためて期待したい。