レース回顧 NHKマイルC

府中の芝1600mで争われた3歳の最強マイラー決定戦。芝はAコース使用3週目になり、少し時計がかかり出しているかなという印象だった。

先導役をつとめたのはレンイングランド。これを牝馬のアルビアーノがマークする形になり、3ハロン通過は35秒3で、1000mは59秒3だった。これはスローと言っていい数字だろう。

そして、上がりの3ハロンは11秒3-11秒3-11秒8となった。そんな競馬の中、勝利をものにしたのは友道康夫厩舎(栗東)のクラリティスカイだった。父クロフネは01年に当レースを勝っていて、父子制覇となった。

◆1着 クラリティシチー(3番人気・7番枠) 横山典弘
7番枠からのスタート、ヤネは主戦の横山典弘。ゲートの出は五分で、ノリは手を動かして出していく。これでクラリティは行きたがってしまい、好位馬群に入って前半はノリが必死に手綱を抑えていた。

コーナーに入っても力んで走っていて、リズムは良くなかった。それでも、結果的に伸び切ったことを考えると、完全に息が入っていないというわけではなかったのだろう。

直線に向くとスムーズに走路がひらき、ノリが少し待ってから徐々に追いを強くする。残り400mを過ぎて2番手に上がり、標的は早めに抜けていたアルビアーノ一頭になった。

クラリティはジリジリとアルビアーノに迫り、200mを過ぎて並びかける。そこからも渋太く伸びて交わし、最後までしっかりと脚を使って栄光のゴールに飛び込んだ。勝ち時計は1分33秒5(良)で、自身の上がりは33秒9だった。

道中で行きたがっていたわけで、普通なら直線で脚をなくしているところだ。それでも持久力を発揮して伸び切った様は、クラリティらしいと感じたし、同時にクロフネ産駒らしいとも感じた。

このあとはダービーは使わず、安田記念(6月7日)で古馬にぶつけることになるようだ。時計面では差があるが、斤量差が大きくなるので太刀打ちできるかもしれない。いずれにせよ、GI馬になって歩んでいく今後が非常に楽しみだ

◆2着 アルビアーノ(4番人気・9番枠) 柴山雄一
9番枠からのスタート、ヤネは3戦3勝のすべてで手綱を取っていた柴山雄一。ゲートの出はひと息だったが、二の脚がしっかりしていてスッと前にいく。内からレンイングランドがハナに立ち、2番手につける形になった。適度な闘争心を見せ、理想的な競馬になった。

誤算だったのは、直線に入ってすぐにレンインを交わして先頭に出てしまったことだろう。あまり待っても仕方ないし、柴山は早めにしごいて追いに入った。少し後ろを離してしっかり脚を使ったが、クラリティが不気味に迫ってきていた。

残り200mを過ぎて並ばれ、さすがに余力がなくなってきて、抵抗し切れなくなる。それでもバタッとくることはなく、2着に残ってゴールした。

デビューから3連勝を飾り、GIのステージで牡馬を相手に堂々の2着。500キロを超える大型牝馬だが、ヒドく緩いということはなく、もっともっと強くなっていきそうだ。

◆3着 ミュゼスルタン(2番人気・12番枠) 柴田善臣
外めの12番枠からのスタート、ヤネは主戦の柴田善臣。弱いところが残るシャドーロール着用馬で、ゲートが開くと軽くアオッて右に出てしまう。行き脚は上々で、少し上がって中位の少し後ろの馬群の中を進む形になった。

道中は息が入ってスムーズな追走ぶりだった。直線は外めでバラけるのを待ち、開いてからしっかりと伸びる。少しトモが弱い感じの走りではあるが、最後まで脚を使って3着に上がった。上がりはメンバー中で最速タイの数字となる33秒8だった。

当日は前走比6キロ減の470キロ。ボリューム感という点で物足りなさがあり、まだ成長途上ということなのだろう。骨折があったわけだし、体が固まるのをじっくりと待ってもらいたい。

◆5着 グランシルク(1番人気・2番枠) 戸崎圭太
内の2番枠からのスタート、ヤネは主戦の戸崎圭太。課題だったゲートはまずまずしっかり出た。少し行かせてから抑え、中位のインで慎重にタメる競馬になった。

コーナーはスムーズで、直線で内めを捌きにかかる。少しゴチャついたが、大きなロスはなかった。走路が開けてからは、頭が上がり気味になってグッとは伸びない。何とか脚を使って見せ場をつくったが、最後は鈍る感じになって5着に終わった。

全体にロスのない競馬ができたが、スローの流れからの瞬発力勝負というのは合わないのかもしれない。ステイゴールド産駒で成長力はありそうで、今後に期待したいところだ。