レース回顧 青葉賞

本番と同じ舞台で争われたダービーのトライアル競走。芝はAコース使用に2週目になり、高速馬場とはいかないまでも、走りやすい状態だった。

大外18番枠から押してトーセンスパンキーがハナを奪った。テンの3ハロンは36秒2と普通の数字で、そこからペースを落としにかかる。4ハロン目からは12秒8-12秒9-13秒3-13秒1と大きいラップが続いた。

直線は切れ味比べの展開になり、上がりの3ハロンは11秒5-11秒2-11秒6と速いラップになった。そんな競馬の中、1番人気の支持を受けた西のレースヴミストラルが鋭く差し切って勝利をものにしている。

◆1着 レーヴミストラル(1番人気・8番枠) 川田将雅
8番枠からのスタート、ヤネは岩田康誠から乗り替わって川田将雅。一完歩めでトモが入るタイプではなく、ノソッと出て少し後手に回る。川田は無理には行かせず、少しタテに長い展開の中で中位の後ろというポジションになった。

向正面に来ると外に動かしたが、前に馬がいる形になっていて、ミストラル自身ものんびりと息を入れて走っていた。後半のコーナーに入り、4コーナーに差しかかると最外に出てジワッと上がっていった。

直線で気合をつけるとスッと先頭との差を詰め、残り300mに来て川田が本気で叩き出した。少し頭が高くて完全には集中していない感じがあるが、それでもしっかりと脚を使い、グッと抜け出して1着のゴールを決めた。勝ち時計は2分26秒9(良)で、自身の上がりは33秒7だった。

父はキングハメハメハで、きょうだいに活躍馬が並ぶ良血馬。姉に阪神ジュベナイルF勝ちのレーヴディソールがいて、兄のアプレザンレーヴは09年に青葉賞を勝ってダービーで5着している。

まだ体に実が入り切っていない感じがあるし、気性面でも若いところがある、それでG2を制したのだから能力は相当に高い。さて、本番のダービーだが、相手は格段に強くなり、今回のようなスローになることもないだろう。それでしっかりと脚を使えるか微妙なところではあるが、まだ隠された部分があるはずで、警戒が必要な存在になるのは間違いない。

◆2着 タンタアレグリア(4番人気・3番枠) 蛯名正義
内の3番枠、ヤネは2度目の騎乗となった蛯名正義。ゲートが開いてポンと好スタートを切り、蛯名が軽くうながして流れに乗せていく。中位の少し前で馬群の中に入り、向正面では少し力んで走っていた。ただ、ペースが遅すぎた分で引っ張る格好になったもので、息が入っていない感じではなかった。

後半のコーナーもじっくりと構え、直線の立ち上がりで前が開いて少し外に出る。直線は蛯名がガッチリと抑えて追い出しを待っていた。外からヴェラヴァルスターとミストラルが伸びてきて、残り300mからしごき出す。3番手に落ちそうになるシーンがあったが、最後まで粘り強く脚を使って2着でゴールした。

レースが終わって蛯名は「まだ本気を出していないところがある」と話している。ダービーでとなると迫力不足かもしれないが、相手なりに頑張りそうなところがあり、そこそこやれるかもしれない。

◆3着 ヴェラヴァルスター(5番人気・6番枠) 田辺裕信
6番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで田辺裕信。ゲートの出は上々で、ジワッと出ていって中位馬群に入る。前にアレグリア、後ろにミストラルがいて、スローの中でも落ち着いて走っていた。後半のコーナーもスムーズだった。

直線はアレグリアを追う形になり、後ろからミストラルがやってくる。3頭併せの真ん中で渋太く抵抗し、残り200mを過ぎて一瞬だが先頭に出るようなシーンがあった。が、最後は2頭に追い負けて3着に落ちた。

今回と同じ舞台で500万下を勝って3ヵ月ぶりの実戦だったが、美浦のウッドで入念に乗り込んで仕上げてきていた。まだ馬体は緩いところがあり、もっと良くなってくるだろう。これから短期間にパワーアップすることがあれば、ダービーで健闘できる可能性が出てくる。