府中の芝2000mで争われたオークスのトライアル競走。開幕週でAコース使用になり、芝はキレイな緑をしていた。超高速馬場とまではいかなかったが、走りやすくて瞬発力が要求される状態だった。
先導したのは15番枠からハナを主張したグリシーヌシチー。2番手に2番人気のシングウィズジョイ、3番手のインに1番人気のディアマイダーリンがつけ、レースはスローで淡々と流れた。3ハロン通過は37秒3で、1000mは62秒6だった。
直線は決めて比べの様相になり、上がりの3ハロンは11秒5-11秒2-11秒7の34秒4と速いラップになった。勝ったのは2番手にいた西のシングウィズジョイ。直線で早めに先頭に立ち、内から伸びてきたディアマイダーリンを抑えて勝ち切った。3着はマキシマムドパリで、ここまでが本番の優先出走権を手にしている。
◆1着 シングウィズジョイ(2番人気・5番枠) 内田博幸
内めの5番枠、ヤネは500万下勝ちの前のレースに続いて内田博幸。ゲートが開いてポンと好スタートを切り、内田も出していって先頭に出る。そのままハナに行かせようとしたが、外からグリシーヌシチーが来ると引いて下げた。
出した分とペースが緩かった分でさすがに少し行きたがっていたが、徐々に落ち着きを取り戻し、中盤はリズムよく走っていた。後半のコーナーに入ってもスムーズで、体力を残したまま理想的な形で直線に向くことができた。
直線で楽にグリシーヌに迫り、内田は周りをうかがいつつ時に手を押すぐらいで本気では追わない。3番手のインにいたディアマイダーリンを閉じ込めることになったが、これはもちろんわかっていてやったことだろう。そして、先頭に立って残り300mからしごき出した。
シングはしっかりと脚を使って堂々と抜け出す。200mで内からディアが伸びてきたが、半馬身ほど馬体が重なってから抜かせず、渋太く先頭を守ってゴール板に飛び込んだ。着差はクビで、勝ち時計は2分01秒8(良)。自身の上がりは34秒3だった。
当日は前走比6キロ減の450キロ。今年に入って3走目、中3週で東への遠征競馬だったから、こんなものだろう。中間はCWと坂路でしっかりと乗られていたし、しぼんできたということはない。
3歳の春の段階にしては体に実が入っていて、大きな反動は出ないと思われる。もちろん今後の調整ぶりを見ていたかないといけないが。オークス(5月24日)は中4週で迎えることになる。ソツなく立ち回ってくるので2400mにも対応できそうだし、有力馬の一頭としてレースを盛り上げてくれそうだ。
◆2着 ディアマイダーリン(1番人気・6番枠) 横山典弘
6番枠からのスタート、ヤネは500万下を勝った時に跨っていた横山典弘。ゲートの出は五分で、行き脚もついて抑えながらスーッと前に行く。元気があって行きたがるところがあり、ノリが抑えて下げ、前に壁をつくって息を入れさせようとしていた。中盤に来ても手綱を抱えていて、完ぺきなリズムではなかった。
直線に向いてグリシーヌとシングに前を塞がれる形になったが、まだ追い出すタイミングでもない。引いて下げて外に回すことはせず、ノリはジッと我慢して開くのを待っていた。
残り300mを過ぎてスペースができ、そこに突っ込ませる。シングに内から迫ったが、相手が脚を使って完全に並ぶまでいかない。自身も道中で少し行きたがった分で余力がなくなってきて、遅れた態勢のままクビ差の2着に終わった。
久々でフラワーCを3着し、中間は美浦のウッドと坂路で力強く動いていた。当日は迫力ある馬体を見せていたし、まだ良くなってきそうなムードである。府中適性が高く、オークスでも楽しみだ。
◆3着 マキシマムドパリ(3番人気・1番枠) 武豊
最内1番枠からのスタート、ヤネは主戦の武豊。ゲートをしっかりと出、行き脚もついて流れに乗る。ユタカが抑えて自然と下がり、好位の少し後ろのインにつけた。ディアを前に見る形で、うまく息が入って感触の良い追走ぶりだった。
直線は前が壁になり、少し外に動かして開くのを待つ。ユタカらしく、狭いところに強引には入っていかなかった。前が開いてから追いに入ったが、例によってユタカはパワー不足で追いが弱い。体力が残っていた分でマキシマム自身が脚を使い、3着に上がって権利を取った。
中間に細くなってきていて、長距離輸送もあって当日は18キロ減だった。馬体重は432キロ。昨秋の新馬戦の時が470キロで、それより38キロも小さい数字である。
確かに腹回りが細かったが、細いなりに体全体のバランスは良くて、歩様もスムーズだった。ギリギリで走れる状態だったのだろう。オークスとなると、やはり負荷をかけつつ馬体を戻すことができるかがポイントになる。