レース回顧 福島牝馬S

福島の芝1800mで争われた牝馬同士のG3競走。3週間開催の最終週になり、前の週のAコースからBコース使用に替わっていた。

レースを引っ張ったのは、予想通りペイシャフェリス。落ち着いて走れる気性ではなく、スイスイと速いピッチで飛ばしていく。3ハロン通過は34秒6で、1000m通過は58秒8になった。

直線で9番人気のリラヴァティが抜け出して押し切るかと思われたところ、3番人気のスイートサルサが末を伸ばして差し切って勝利をものにした。2着がリラヴァティ、3着は13番人気のメイショウスザンナで、3連単は59万馬券になった。

◆1着 スイートサルサ(3番人気・6番枠) 田中勝春
6番枠からのスタート、ヤネは主戦の田中勝春。ゲート内で前脚を突っ張っていたが、五分に出ることができた。行き脚もついていて、自然と流れに乗る。1コーナーで外が抜け、中位の少し後ろの外を進む形になった。ヒドく外を回されたわけではない。

向正面をソツなく越し、3コーナーからジワジワと差を詰めていく。4コーナーから追いを強くして、全体にスムーズな競馬ができた。勝春はチグハグな誘導になることが多いが、今回に関してはうまくいった。

直線は気を抜いていたのか、久しぶりになる右回りが影響したのか、外に行ったり内にササッたりでフラフラと走っていた。それでも粘り強く脚を使い、内から抜けていたリラヴァティを最後でとらえて栄光のゴールに飛び込んだ。

着差はクビで、勝ち時計は1分46秒0(良)。自身の上がりは34秒9になり、ラスト1ハロンは11秒8前後で駆けている(レースのラスト1ハロンは12秒0)。

5歳の春に重賞初制覇。これまでも高い能力を見せてきていて、さらにパワーアップしてタイトルをつかんだという形である。次はヴィクトリアマイル(5月17日)。マイルは3勝で、1分31秒7(新潟)と1分32秒1(東京)での勝利がある。充実している今ならGIでもやれていいだろう。

◆2着 リラヴァティ(9番人気・12番枠) 丸山元気
12番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで丸山元気。ゲートで少しうるさくしていて軽くアオッたが、丸山が押すとダッシュがつき、1コーナーで2番手に上がった。ペイシャフェリスから1馬身半ほど離れ、感触の良い追走ぶりだった。

4コーナーに差しかかってジワッと先頭に並んでいき、早めに前に出る形になる。直線の立ち上がりから丸山がしごき、直線は外から来たマイネグレヴィルと叩き合う格好になった。グレヴィルを渋太く離して残り100mで2馬身ほどのリードを取ったが、最後で勢いが鈍ってサルサに差し込まれてしまった。

早めに先頭に立ったのは丸山にとっても誤算だったろう。丸山はレース後に「直線で抜け出してからソラをつかった」とコメントしている。馬体が12キロ減って450キロになっていたが、細くは見せなかった。まだ4歳、もっと強くなっていきそうだ。

◆3着 メイショウスザンナ(13番人気・1番枠) 松田大作
最内1番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで松田大作。ゲートの出は上々で、大作が少し行かせてから手綱を抑える。中位のインを進む形になり、ラチ沿いは避けて走らせていた。

道中は抑えつつでも息は入っている感じ。3コーナーを過ぎて馬群の中を楽に上がっていき、4コーナーではもの凄い手応えだった。捌けば突き抜けるだろうという感触だった。

直線で少し外に動いて進路をつくったが、ここで前にいたサルサが外に張ってくる。大作は強引に外に動かし、ブランネージュと接触してしまった。この事象に関し、大作は制裁(過怠金30,000円)を受けている。前が開いてスザンナはグイグイと伸びたが、クビ+クビ差の3着に終わった。

今回は1月の京都牝馬S以来で3ヵ月ぶりの実戦。栗東の坂路で大きめをじっくりと乗られるという調整で、明らかに仕上げ切っていない状態だった。馬体重は14キロ増の472キロで、太くはなくても締まりがない感じだった。

かなり気性が強く、1800mの距離で調子が良かったら掛かって制御できなくなっていた可能性が高い。競馬において時にあることがだが、本当のデキにないぐらいでちょうどよかった。ハミを替えた効果もあっただろう。6歳になったが、軌道に乗ってきそうなムードだ。

◆7着 パワースポット(1番人気・16番枠) 横山典弘
大外16番枠、ヤネは同馬に乗って4勝していた横山典弘。ゲート内で左を向いている時にスタートを切られ、出遅れる格好になった。ノリは行かせる気もなく、抑えたままポツンと離れた最後方の追走になる。3コーナーを過ぎてもノリは仕掛けず、とにかくタメにタメていた。

4コーナーで外に動かしたが、前を気にしたか頭を上げてしまう。ここで少しロスがあった。直線は最外を伸ばし、スピードに乗るのが少し遅かった。残り100mから一気に詰めたが、速い時計で決着する中で7着に上がるのが精一杯だった。自身の上がりはメンバー中で最速になる34秒2だった。

当日の馬体は18キロ減の460キロ。細くは見せなかったし、しっかりと筋肉は付いていたのだが、減りすぎだったのは確かだろう。Bコースに替わっていた馬場を考えると、ノリは詰まるのを覚悟で馬群を捌きにかかるべきだったと思う。