レース回顧 アンタレスS

ダ1800mで争われたGIII競走。週中に雨が降り、良発表でも少し湿った馬場状態だった。当日は強い風が吹いていて、見た目ではわかりづらくても影響を受けた馬がいる可能性がある。

短距離戦線から乗り込んできたポアゾンブラックが逃げるかと思われたが、内の3番枠から1番人気のアジアエクスプレスが出ていってハナに立った。3ハロン通過は36秒3で、1000mは60秒1。6ハロン目からは12秒1-12秒1-12秒3と速めのラップが続き、ラスト1ハロンは13秒0になった。

レースは2番手にいたクリノスターオーが勝ち、逃げたアジアが2着に残るという結末になった。形的には“行った、行った”だが、楽でないペースの中を頑張ったものであって、スターオーとアジアが強かった。勝ち時計は1分49秒6となっている。

◆1着 クリノスターオー(6番人気・13番枠) 幸英明
外の13番枠からのスタート、ヤネは主戦の幸英明。初めてブリンカーを着用して挑んだ。ゲートの出は五分で、幸が気合をつけると行き脚がついてスッと前に行く。内のアジアの出方をうかがい、2番手でポジションを固定させた。

道中は軽く抑えるぐらいの手応えだった。青毛で黒光りし、大きな馬体で異様なまでの迫力を感じさせえる追走ぶり。課題である気を抜くところさえ出さなければ勝ち負けになるだろうという感触だった。

4コーナーに来て幸が手を動かして気合を乗せ、アジアに並んでいく。ただ、目一杯に追っていたわけでなく、スターオー自身も全力で走ってはいなかった。直線に向くと、アジアと並んで叩き合いが繰り広げられる。残り100mを過ぎて渋太く前に出、そのまま1着でゴール板を駆け抜けた。勝ち時計は前出の通り1分49秒6(良)で、自身の上がりは37秒3だった。

12月のチャンピオンズC(8着)以来の実戦で、馬体重は4キロ増の536キロだった。栗東に戻って最初に時計になったのが51秒3で、、その後もしっかりと乗ってきた。高橋義忠師は「体に余裕があった」と話したが、見た目には皮一枚ぐらい厚いかなといった程度。その分で上積みが残っている。

幸はレースが終わって「ホッコータルマエに迫る勢いで力をつけている」とコメントしている。2頭が同じレースに出走する場合、幸はタルマエでスターオーは別のジョッキーということになるだろう。

5歳になって完成の域に入った印象で、今後が非常に楽しみである。次走は正式決定していないが、連覇を狙って平安S(5月23日)に出走することになる可能性が高い。ブリンカーは着けていくことになりそうだ。

◆2着 アジアエクスプレス(1番人気・3番枠) 戸崎圭太
3番枠からのスタート、ヤネは主戦の戸崎圭太。ゲートが開いてスターオーの幸と同じように戸崎が押して出し、勢いがついて先行態勢を取る。無理にハナを奪おうとしたわけでもないと思うが、行き脚がついた分で先導することになった。

道中は前向きさを見せて軽快な逃げっぷり。といって息が入っていないことはなかった。先に挙げたようにラップは速く、これを自然と刻んでいるのだから、やはり脚力は非凡である。

4コーナーでスターオーが並んできて、直線は馬体を接してのせめぎ合いが続いた。最後は少し鈍って外から出られたが、ナムラビクターの追撃を凌いで2着で入線した。

当日はスターオーより2キロ重い538キロ。復帰戦の名古屋大賞典(2着)から中2週だったが、美浦のウッドで65秒台でしっかり追われ、馬体重はその時と同じ数字だった。まだ4歳、57キロで好走したことには意味があるし、スターオーと同様に今年の活躍が期待される。

◆3着 ナムラビクター(2番人気・4番枠) M・デムーロ
4番枠からのスタート、ヤネはテン乗りでミルコ・デムーロ。ゲートが開くと、頭を上げて左にヨレて後手に回る。少し行って気持ちが入って流れに乗り、中団の内を進む形になった。道中はミルコが時に手を動かしている。もともと気を抜くところがあり、そんな面を出していたのだろう。

4コーナーからしごいていき、直線で前のダノンバトゥーラをパスするのに外に動かした。そのあとは弾ける感じがないながらもジリジリと渋太く脚を使い、半馬身+クビ差の3着に入った。

レースが終わってミルコは「直線で物見をしてしまった」と話している。いつもそんな感じだから、6歳になってこれからもそうなのだろう。昨年のチャンピオンズCで2着しているように能力はGIレベル。今後も目を離せない。