レース回顧 阪神牝馬S

阪神の内回り芝1400mで争われた牝馬同士のGII競走。芝は連続開催の7週目になり、Bコース使用2週目だった。前日の金曜に降った雨が残って馬場は稍重。内めはボコボコしていて、見た目に少し走りづらそうだった。

先行態勢を取ったのはバーバラとベルルミエール。ルミエールが外から少し出るシーンがあったが、結局はバーバラが内からハナに立った。馬群はタテに長くなり、前半3ハロンのラップは12秒6-10秒8-11秒3の34秒7だった。

4ハロン目からも11秒6、11秒4とペースは緩まず、1000m通過が57秒7。ラストの2ハロンは11秒4、12秒0で、決着時計は1分21秒1だった。これは馬場を考えると優秀な数字と言っていいだろう。勝ったのは2連勝して挑んだ5歳のカフェブリリアントだった。

◆1着 カフェブリリアント(4番人気・4番枠) 福永祐一
4番枠からのスタート、ヤネは同馬に乗って2勝していた福永祐一。ゲートが開いてポンと一番のダッシュを見せ、そこから福永が抑えにかかる。好位の内めでタイトではないところにつけ、適度な闘争心を見せて感触の良い追走ぶりだった。

後半のコーナーはスムーズで、4コーナーでも手応えは十分だった。直線の立ち上がりで自然と前が開き、ルミエールを右前に見て追い出しを待つ余裕があった。この時点で「楽に差し切りそうだな」というムードだった。

福永が追いを強くすると、しっかりと反応してギアを上げる。ルミエールが渋太く食い下がっていたが、ジワジワと追い詰めて交わし、少し余力を残す感じで1着でゴール板を駆け抜けた。勝ち時計は前出の通り1分21秒1(稍)。自身の上がりは34秒4だった。

父はブライアンズタイムで、1つ上の姉サウンドオブハート(父アグネスタキオン)が2年前にこの阪神牝馬Sを勝っている。1000万下勝ちと準オープン勝ちの末脚も力強かったし、大きく力をつけているのだろう。レースでダッシュがついたのも充実して後駆の蹴りが強くなった分だったと思われる。

中間の攻めは美浦の坂路とウッドで大きめを入念に乗るというメニューだった。堀宣行流の調整ではあったが、当日の馬体が2月1日の府中戦から6キロ減って426キロだったから、強くはできない状況だったのかもしれない。その分で、まだ良くなる余地がある。

本番のヴィクトリアマイル(5月17日)は中4週で迎えることになる。レースぶりを見る限りでは大きな反動は出ないと思うが、今後の調整ぶりは注視していきたい。マイルで3勝していて、府中でも勝ち鞍がある。今の勢いならGIで通用するかもしれない。

◆2着 ベルルミエール(7番人気・7番枠) 川島信二
7番枠からのスタート、ヤネは主戦の川島信二。ゲートの出は五分で、川島が押して勢いをつける。バーバラよりに前に出、バーバラが主張すると抑えて下げた。なだめて落ち着き、前向きな走りながらも息が入って体力を温存することができた。

4コーナーに来て抑えたままで迫力十分にバーバラに並び、直線に向いて早々と先頭に躍り出る。そして、川島は少し待ってから追いに入った。ルミエール自身が頭が高いフォームで、川島に腕力がないことからも追う姿は不格好だった。それでもルミエール自身に気持ちも脚もあり、ブリリアントに抵抗してクビ差の2着で入線した。

3歳の春にニュージーランドTで強引な仕掛けから3着に踏ん張るなど、これまでも高い能力を見せてきていた。その能力を最大限に活かせるのが1400mの距離。GI馬がいる中で好走できたことで、視界は大きくひらけた。

◆3着 ウリウリ(3番人気・12番枠) 浜中俊
外めの12番枠からのスタート、ヤネは同馬に乗って4勝している浜中俊。ゲートの出は五分で、浜中は無理には出さずに自然と下がって中位の後ろの追走になる。外に馬を置く格好で、開いていた内には入れていかなかった。コーナーはラチ沿いを走らせ、直線は内めを捌きにかかった。

少し加減しつつになり、完ぺきに捌けたわけではなかった。それでもジワジワと差を詰め、開いてからはしっかり伸びてクビ+半馬身差の3着で入線した。上がりはメンバー中で最速の34秒2だった。

昨年はスマートレイアーとハナ差の2着で今年は3着。しかし、攻めで栗東CWと坂路の両方で鋭い動きを見せていたし、衰えなく高い能力をキープしているのは間違いない。まだまだ活躍してくれるだろう。

◆4着 スマートレイアー(1番人気・14番枠) 武豊
外の14番枠からのスタート、ヤネは勝った昨年も手綱を取っていた武豊。昨年はアオッて大きく出遅れたが、今年は五分のスタートを切った。ユタカが抑えて下げ、後方で外に構えて脚をタメていた。そして、3コーナーを過ぎてから外をジワッと上がっていった。

直線は弾け飛んだ昨年のように重心が下がることはなく、ダラダラとした伸びだった。地力がある分で最後まで脚を使ったが、4着に上がるのが精一杯だった。

栗東坂路の攻めではラスト11秒8をマークするなど抜群の動きを見せていた。ただ、GIが先にあり、少しお釣りを残した仕上げだったはずである(馬体重は4キロ減の466キロ)。少し早く外を動かす形になったし、ジリッぽくなったのも致し方ないだろう。ヴィクトリアマイルであらためて期待したい。