中山の芝2500mで争われた天皇賞(春)につながるGII競走。芝はAコース使用5週目になり、内めが少し傷んでいた。内を狙った勢力が好走することがあれば、外差しが決まることもあった。
レースを引っ張ったのは、意外にも追い込み馬としてキャリアを積んできた8歳のフラガラッハだった。これをクリールカイザーがマークし、淀みのないラップが刻まれた。最初の1000mが59秒9で、次の1000mは61秒2だった。
そして、後半の3ハロンは11秒7-11秒6-11秒8の35秒1。全体の時計は2分30秒2と速く、レースレコード更新となった。この時計で走って勝利を手にしたの4歳のアドマイヤデウス。外から突き抜ける強い競馬で、天皇賞への期待を膨らませた。
◆1着 アドマイヤデウス(4番人気・6番枠) 岩田康誠
6番枠からのスタート、ヤネは主戦の岩田康誠。ゲートが開いて軽く左にヨレたが、行き脚はついていて、岩田が出さずに抑えていく。最初のコーナーは中位で馬群の中にいて、スタンド前で外が抜けた。レースが流れている中で、適度な闘争心を見せてスムーズな追走ぶりだった。
3コーナーを過ぎ、4コーナーにさしかかると岩田が手綱を強く押して仕掛けて出る。直線に向くとしっかりと脚を使って残り200mを過ぎてフラガラッハに並び、抜け出して勝負を決めた。着差は1馬身3/4で、勝ち時計は前出の通り2分30秒2(良)だった。
自身の上がりは34秒2で、ラスト1ハロンは11秒6か11秒7で駆けている。競馬的には差しが決まってよかったが、外を回って自力で長く伸びて勝ち切ったのだから、中身は相当に濃い。
当日の馬体重は、1月の日経新春杯勝ちから6キロ減って472キロ。細いということはなく、きっちりと仕上がっていた。栗東の坂路で自己ベストとなる50秒8を出していたし、着実に成長しているのだろう。
次は大舞台の天皇賞(春)(5月3日)。血統や馬体からはさらに距離が延びてという感じはしないのだが、今回の競馬で十分なスタミナがあるのはわかったし、速い上がりも使えることから淀の3200mにも対応できていいだろう。本番は中4週で迎えることになり、反動が出ずに乗り込んでいけるか見守っていきたい。
◆2着 ウインバリアシオン(5番人気・3番枠) 福永祐一
3番枠からのスタート、ヤネはデビュー時以来の騎乗になった福永祐一。ゲートの出はひと息で、福永がうながして流れに乗せていく。好位の後ろのインの追走になり、道中は少し引いて抑えるぐらいの行きっぷりだった。
後半のコーナーで前をパスするのに少し外に動き、直線は内めを伸ばす。外からデウスに鋭く交わされたしまったが、最後まで頑張って脚を使って2着に上がった。
昨年は当レースを勝って天皇賞でクビ差の2着に駆けた。7歳になっても衰えはなく、脚元さえ無事ならしっかりと上積みを乗せてくるだろう。本番も楽しみだ。
◆3着 ホッコーブレーヴ(6番人気・4番枠) 田辺裕信
4番枠からのスタート、ヤネは田辺裕信。ゲートの出は上々で、抑えてポジションを下げる。後方3番手の内を進む形になり、気持ちが乗っているのを抑えているという道中の走りだった。
後半のコーナーに入り、田辺にしては珍しく外を回さずに馬群の中を詰めていく。直線はラチ沿いを狙い、フラガラッハを内から抜いて2番手に上がった。最後の最後で脚色が鈍り、3着に落ちてしまった。
昨年は当レースをバリアシオンの2着に駆け、天皇賞では12番人気ながらクビ+ハナ差の3着に好走した。バリアシオンと同様に上積みを加えてくるはずで、こちらも本番で怖い存在になる。
◆4着 サウンズオブアース(1番人気・10番枠) M・デムーロ
10番枠からのスタート、ヤネは3歳の春までに3度の騎乗歴があったミルコ・デムーロ。ゲートが開いて頭が上がって後手に回り、道中は後方2番手を進む競馬になった。レースが流れていた分で、ミルコが軽くうながすようなところがあった。
後半のコーナーは外めを回し、その外にステラウインドがいて、いい形とは言えなかった。直線は狭いところを割り切れずに最外まで出すことになり、本気で追えたのは残り200mを過ぎてからだった。スピードに乗ってグングン伸びてきたが、2着とアタマ+アタマ差の4着に終わった。
4コーナーからうまく上がっていけていたら、デウスに迫ることができたかもしれない。菊花賞(2着)以来だったことを考えれば、十分すぎる内容だろう。まだ緩いところが残るが、体つきは良くなっていた。今回は55キロで走れていて、本番は58キロで脚を使えるかがポイントになる。