レース回顧 マーチS

中山のダ1800mで争われたGIII競走。ハンデ戦で7.5キロという大きい上下差があった。レース前に雨が降り出したが、影響はなかったと思う。中山らしく、タフな砂の中での戦いになった。

予想通りサトノプリンシパルがレースをつくることになった。これをロイヤルクレストがピタッとマークし、後続もついてくる。3ハロン通過は36秒4で、4ハロン目が13秒2と大きい数字になって、5ハロン目が12秒3。1000mのラップは61秒9で、ちょうど平均ペースといったところだろう。

レースを制圧したのは、ハンデ56キロで6番人気のマイネルクロップだった。直線で馬群を割って伸びて勝ち切る力強い走りだった。2着は5番人気のイッシンドウタイで、1番人気のマスクトヒーローが3着に続いている。

◆1着 マイネルクロップ(6番人気・16番枠) 丹内祐次
ハンデは56キロ。16番枠からのスタートで、ヤネは佐賀記念勝ちに続いて丹内祐次だった。ゲートの出は五分で、丹内が少し押して流れに乗せて、次に内へと寄せていく。タテ位置は中位の前で、適度にバラけたところに収まった。大外枠のロスをうまく消すことができた。

道中は少し気を抜くぐらいの感じで、体力を残しつつ追走していた。後半のコーナーに入って徐々に馬群が凝縮していき、4コーナー前から丹内が手を動かして気持ちを乗せていった。

直線はマスクトヒーローの後ろに入り、外のトウショウクラウンが少し邪魔だった。残り200mを過ぎ、こじ開けるように進路をつくった。ビシッと追われてからしっかりと脚を使い、マスクを交わして先頭に出る。そして、イッシンドウタイの追撃をアタマだけ凌いで勝利をつかみ取った。

勝ち時計は1分52秒7(良)で、自身の上がりは37秒7。レースのラスト1ハロンは13秒0で、ここを12秒7か12秒8前後で駆けている。これまで砂が軽めの京都で好走することが多かったが、パワーが必要な中山でもパワフルな伸び脚を繰り出すことができた。5歳になって充実期に入った印象だ。

◆2着 イッシンドウタイ(5番人気・15番枠) 田辺裕信
ハンデは56キロ。クロップより1つ内の15番枠からのスタートで、ヤネはテン乗りで田辺裕信だった。ゲート内でうるさくしていて、タイミングが合わずにバカつく感じで出てしまう。田辺は態勢が整うのを待ってから少し行かせ、て中位の後ろの追走になった。

道中は田辺お得意の外に構える騎乗。3コーナーに入って無理には仕掛けず、直線の立ち上がりでしごいて勢いをつけながらさらに外を攻めていった。

直線で少し前と離されたが、残り200mから少し重たい感じの走りながらしっかりと詰め寄ってくる。最後の最後で気を抜いたかクロップを交わそうとしない感じになり、アタマ差の2着に終わった。

中山でしか走れないイメージがあるが、昨年の秋には京都のみやこSでインカンテーションと0秒4差の4着に駆けている。少し上がりがかかる競馬になれば他のコースでもやれるので、今後も目を離せない。6歳になって、また少し地力を底上げした。

◆3着 マスクトヒーロー(1番人気・13番枠) 横山典弘
ハンデは57キロ。13番枠からのスタートで、ヤネは同馬に乗って(5.1.0.0)の成績を残している横山典弘だった。ゲートの出は上々で、ノリが強めにうながしてポジションを取りにいく。1コーナーで4番手の外につけ、道中は適度な闘争心を見せて感触のいい追走ぶりだった。

後半のコーナーに入ってもノリは抑えたまま。4コーナーに来ても手応え十分で、直線に向いたところでしごいていった。ロイヤルクレストに並んで早めに先頭に出たが、引き離すまではいかない。それでも渋太く脚を使って押し切るかと思われたが、最後は少し勢いが鈍って外の2頭にやられた。

重賞は初挑戦で、ハンデが57キロ。さらに正攻法の競馬になったことを考えれば、強い内容の3着だった。母はマイルチャンピオンシップを4着するなど、芝で切れたビハインドザマスク。体がしっかりしていないところがあり、7歳にしてキャリアは13戦(地方時代を含む)でしかない。実が入って順調に使えるようになるといいが。