レース回顧 ファルコンS

中京の芝1400mで争われたGIII競走。芝はAコース使用2週目になり、週中に降った雨が残ってタフな馬場状態だった。外めからの差しが決まりやすくなるかなと思ったが、内めを攻めた勢力が好走するケースが多かった。

ハナを奪ったのは3番枠から好ダッシュを見せたアクティブミノル。3コーナーまでは単騎の形だったが、セカンドテーブルが上がってきて、これが前に出るシーンがあった。3ハロン通過は34秒4で、4ハロン目は11秒6。馬場を考えると、速めのペースだっだと言っていい。

直線最後は3頭が流れ込む接戦の勝負になった。勝ったのは14番人気の伏兵馬タガノアザガル。2着は4番人気のアクティブミノル、3着は5番人気のヤマカツエースで、3連単は63万馬券になった。

◆1着 タガノアザガル(14番人気・1番枠) 松田大作
最内1番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで松田大作。ゲートの出は五分で、松田がうながして流れに乗せる。好位4番手のインの追走になり、軽く抱えるぐらいの行きっぷりだった。

コーナーもじっくりと脚をタメ、直線の立ち上がりでアクティブミノルとセカンドテーブルの外に持ち出す。松田は右後ろチラッと見てから追いに入った。急坂でさすがに少し頭が高くなったが、しっかりと脚を使い、残り300mでアクティブに並んだ。

そこからは熾烈な追い比べが繰り広げられる。展開を考えるとアクティブは止まって不思議はなかったのだが、これが渋太く抵抗してきた。せめぎ合いは最後まで続き、ちょうどハナだけ出たところがゴールだった。

勝ち時計は1分22秒9(稍)。レースの上がりは12秒0-12秒1-12秒8の36秒9で、自身の上がりは36秒7だった。ロスなく運べたのも力があればこそで、渋った馬場の中で内容ある勝利だった。

アザガル自身は重賞初制覇で、手綱を取った松田はデビュー19年目での重賞初V。さらに管理する千田輝彦師も開業5年目の重賞初勝利となった。

今後の予定を確認できていないのだが、NHKマイルC(5月10日)を目指すことになるだろう。血統からスタミナは潜在しているはずで、気性と体型からはマイルはギリギリかなといったところである。

◆2着 アクティブミノル(4番人気・3番枠) 藤岡康太
3番枠からのスタート、ヤネは同馬に跨って函館2歳Sを勝っている藤岡康太。ゲートが開いて康太が気合をつけ、一気にスピードに乗ってハナに行く。抑えて単騎が確定し、道中は軽快な逃げっぷりだった。

3コーナーに来るとセカンドテーブルが絡んでくる。ここで康太は無理に手を押さず、セカンドを前に出させて息を入れることに専念した。抑えたまま下がってしまう危険性もあったが、抵抗すれば直線で脚が上がることになるだろう。康太の判断は冷静だった。

直線残り300mからはアザガルと長く叩き合った。最後でハナだけ交わされたが、中身の濃い走りだった。朝日杯フューチュリティSでも厳しいペースの逃げになって5着に踏ん張っていたし、なかなか渋太い。

3ヵ月ぶりの実戦で6キロ減の476キロと馬体を増やせていなかったが、栗東のCWで迫力ある動きを見せていたし、しっかりと成長しているようだ。今後が楽しみである。

◆3着 ヤマカツエース(5番人気・8番枠) 藤田伸二
8番枠からのスタート、ヤネは初勝利時に手綱を取っていた藤田伸二。トモに力が入らなかったか、ゲートが開いてアオッて出る。すぐに行き脚がつき、流れに乗ってインに入れていった。タテ位置は中位の後ろになった。

コーナーはじっくりとタメ、直線の立ち上がりでコーナリング乗りがあって前との差が少し詰まっていた。直線は内めを捌きながら脚を使い、最後で前の2頭におそいかかる。が、ハナ+ハナ差の3着に終わった。

道中も直線も少し走りがしっかりしていない感じがあったのだが、藤田がレース後に「何度もノメッていた」と話していて、馬場の影響があったようだ。地味な印象があるものの、確実に力をつけている。

◆4着 フミノムーン(1番人気・13番枠) 幸英明
外めの13番枠からのスタート、ヤネは新馬勝ちの時に跨っていた幸英明。ゲートの出は上々で、無理に出さずに自然とポジションが下がる。中位の後ろの外の追走で、適度な闘争心を見せていた。

3コーナーを過ぎて外からジワジワと差を詰めていったが、外に逃げる素振りを見せていた。直線に向いて争覇圏内に入りそうだったが、坂で頭が上がって推進力が出ない。苦しくなってからバタッとはこなかったが、前の3頭から離された4着に終わった。

中京で500万下を快勝したことで人気になっていたが、まだトモに緩いところがあり、重賞で外を回しては厳しかった。それでも4着しているわけだから、悲観するような内容ではなかった。今後の成長を待ちたい。