阪神の内回り芝1400mで争われた桜花賞のトライアル競走。芝はAコース使用3週目になり、レースがそう流れなくてもラスト1ハロンはラップが落ちてタフな凌ぎ合いになるケースがほとんどだった。良発表でも少し水を含んでいたこともあったと思う。
ハナを奪ったのは、ダート戦線から乗り込んできたウィッシュハピネス。軽快に飛ばしていき、3ハロン通過が34秒7で、1000mが58秒4になった。これは馬場を考えると厳しめのペースである。
そして、後半の2ハロンは11秒8-12秒3になった。そんな競馬の中、勝利を手にしたのは1番人気の支持を受けたクイーンズリングだった。大外から豪快に差し切る強い競馬で、競走成績を3戦3勝とした。無敗のまま桜花賞に挑むことになる。
◆1着 クイーンズリング(1番人気・17番枠) M・デムーロ
外の17番枠からのスタート、ヤネはテン乗りでミルコ・デムーロ。ゲートで後ろ脚を踏ん張っていて、力が入らない感じでダッシュがつかない。ミルコも出す気はなく、中位より後ろで後方に近いポジションになった。
ミルコは大きくは内に入れず、前に壁をつくって脚をタメようとしていた。クイーンズ自身も行きたがることはなく、落ち着いて走って体力を残すことができた。4コーナーにさしかかったところで、ミルコがムチを入れて気合をつけていった。
大外に出して強めに押していて、少し気を抜いている感じだった。直線はそのまま大外を攻め、やはりエンジンがかかり切らない様子。それでも残り300mのあたりから勢いがついて脚を使い、200mを過ぎて前の組が鈍ると猛然と追い込む。差し切るのが確定したところでミルコが手を緩め、1着でゴール板を駆け抜けた。
着差は3/4馬身で、勝ち時計は1分22秒5(良)。自身の上がりは1頭だけ35秒を割って34秒9だった。外を回ってきて脚を使い、ゴールした時に余力が残っていた点は大きく評価できる。
当日は1月17日の500万下勝ちから20キロも減って444キロという馬体だった。腹が巻き上がり気味でトモのボリュームも少し落ちていて、少し物足りない感じだった。少しうるさかったし、輸送が影響したのではと思われる。
そんな状況で結果を出したあたり能力は相当なものだが、今後の調整は慎重にならざるを得ない。本番は中3週で4月12日。攻めながら体を戻し、さらに輸送をクリアして全能力を出し切ってもらいたいものだ。そうでないとルージュバックと互角の走りはできないろう。
◆2着 ペルフィカ(7番人気・13番枠) 菱田裕二
13番枠からのスタート、ヤネは3戦連続の騎乗となった菱田裕二。ゲートが開いて出脚はひと息で、菱田が少し押して勢いをつける。すぐに手綱を抑え、タテ位置は中位の後ろになった。うまいこと内が開いていて、少しずつ内へと寄せていく。道中は軽くうながすところがあるぐらいの行きっぷりだった。
3コーナーの入り口でかなり内に入ったが、ラチ沿いまでは寄せない。コーナーで無理には動かさなかったが、内を通って利があり、直線に向いた時に自然と前との差は詰まっていた。
直線は外には出さずにラチ沿いを狙っていく。しっかりと脚を使って狭いところを伸び、残り100mを過ぎて外のムーンエクスプレスを抜いて先頭に出た。しかし、外からクイーンズが飛んできていて、鋭く交わされてしまった。最後は自身も少し勢いが落ちていた。
賭けになる部分もあったと思うが、菱田は外めの枠からうまくロスを軽減させて誘導していた。ペルフィカ自身は末脚に持久力があって、気持ちもしっかりしている。
ただ、今回は馬体重が前走比6キロ減で424キロだった。これは昨年10月の新馬勝ちの時より16キロも少ない数字。クイーンズと同様に、馬体を増やせるかが本番に向けての課題になる。
◆3着 ムーンエクスプレス(2番人気・10番枠) 松山弘平
10番枠からのスタート、ヤネは主戦の松山弘平。ゲートの出は五分で、松山がうながしてポジションを取りにいく。3番手の外につけ、後ろから少し突かれる形だった。
力んでいるわけではないのが、少し気持ち良く走らせすぎている感じだった。そもそも松山は抑え込んで誘導するジョッキーではない。結果として早めの競馬になって末をなくしてしまうケースが多く、安心して見ていられないところがある。追いはしっかりしているのだが…。
この競馬でも結局はお約束のパターンになった。直線に入ってすぐにはしごかずに、時に手を強く押してハミがかりを強くする。残り300mで先頭に並び、ここから本気の追いに入った。
ムーンは渋太く脚を使って抜け出すが、引き離すまではいかない。最後はさすがに勢いが鈍り、内と外から交わされて3着に落ちた。権利を獲れたのはよかった。
当日の馬体重は阪神ジュベナイルF(4着)から4キロ増えて418キロ。小ぶりでも体が弱い感じはなく、栗東ではCWと坂路でしっかりと攻めることができている。松山が少し抑えて乗ってくれるといいのだが、本場でも見せ場をつくってきそうだ。