本番と同じ舞台で争われた桜花賞のトライアル競走。芝はAコース使用2週目になり、当日は午後から雨が降って重馬場の中での戦いになった。
序盤で飛び出したのはウインソワレ。2ハロン行ったところで掛かったレッツゴードンキが外から交わしていき、以降はドンキがレースを引っ張ることになった。3ハロン通過は35秒9で、1000mは61秒4だった。
6ハロン目からの2ハロンは12秒2-11秒5。そして、ラストの1ハロンは一気にラップが落ちて12秒6かかった(上がり3ハロンは36秒3)。そんな競馬の中、東のココロノアイがパワフルに抜け出して勝利を収めている。
◆1着 ココロノアイ(5番人気・14番枠) 横山典弘
外の14番枠からのスタート、ヤネは主戦の横山典弘。ゲートが開いてダッシュが鈍かったが、トモの入りが遅いタイプでいつものことである。序盤は後方2番手で、少し行くと気持ちが乗って抑えながらの手応えで外を進出する形になった。
中団まで上がり、コーナーに入ると落ち着いて走るようになる。直線入り口では、前が射程に入っていい格好になっていた。直線に向いて、ノリは余裕を持って追い出した感じだった。
ノリの仕掛けに即座に反応し、グッとギアを上げるココロ。一気にドンキに迫っていき、残り300mで離れた外からもう並んでいた。ドンキも抵抗を見せたが、渋太く抜け出して先頭でゴール板を駆け抜けた。
勝ち時計は1分37秒7(重)で、自身の上がりは35秒9。見た目に余裕のある勝利に映ったが、最後のラップからして十分に余力が残っていたというわけではないだろう。それでも、道悪の中で力強い走りだった。
道悪をこなすパワーがあるのは、ステイゴールド×デインヒルという血統からくるもの。これまでも道中で力むところがありながら直線で脚を使っていて、底力と根性は相当な域にある。
今回は阪神ジュベナイルF(3着)以来で3ヵ月ぶりの実戦だった。馬体は10キロ増の460キロ。体を増やせたこと自体には意味があり、ただ、少しボテッとした体つきだった。反動が出る可能性もあるが、きっちりと上積みを乗せてくることと思う。
このあと、栗東に滞在して4月12日の桜花賞に備える予定。馬の様子次第で美浦に戻すことも考えるという。桜花賞には同じ関東馬のルージュバックという大物が出てくることになるが、レースを盛り上げる存在になるのは間違いない。
◆2着 アンドリエッテ(7番人気・1番枠) 川田将雅
最内1番枠、ヤネは主戦の川田将雅。ゲートが開いてポンと好スタートを切ったが、馬に行く気はない感じで、下がって後方寄りのインを進む形になった。
道中は落ち着いて息を入れて走っていて、泥を被っても嫌がっている様子がない。4コーナーに来ると、川田が直線に備えて徐々に外に動かしていった。
直線はかなり外を追われ、しっかりと脚を使って追撃態勢に入る。残り200mでココロとドンキとの差は4馬身はあったが、そこから1頭だけ目立つ脚を使って一気に2着に追い込んだ。
父はディープインパクトで、川田はレース後に「得意でない馬場だった」と話している。1番枠というのも楽でなかったが、それでしっかりと脚を使うのだから立派だ。当日は10キロ増の436キロで、実が入って良くなっていたのだろう。今後が楽しみである。
◆3着 レッツゴードンキ(2番人気・15番枠) 岩田康誠
外の15番枠からのスタート、ヤネは2度目の騎乗となった岩田康誠。ゲートの出はまずまずといったところで、岩田が少し押して流れに乗せていく。好位の後ろあたりで落ち着かせとようとしたが、ドンキにスイッチが入ってしまった。
岩田はタメ殺しにしても仕方ないと思ったか、少し手綱を緩めて行かせる形をとる。結局、ハナに立つことになり、前に馬がいなくなると力みが消えて息を入れて走るようになった。
コーナーのリズムは上々で、直線に向いて追い出しを開始する。渋太く脚を使って離しにかかったが、ココロが離れた外から鋭く伸びてきた。残り100mぐらいまで頑張っていたが、最後は脚が上がって3着に落ちた。
ココロと同じく行きたがるところがあり、やはりココロと同じくそれでも結果を残してきている。攻めでは1週前に栗東のCWで62秒級の猛時計が出ていた。脚力とスピードがあることを示すものだが、気持ちが前向きすぎるために出た時計とも言える。本番も折り合いがポイントになりそうだ。
◆11着 クルミナル(1番人気・3番枠) 池添謙一
内の3番枠からのスタート、ヤネは主戦の池添謙一。ゲートが開いてトモが入らずに置かれ、池添が押して勢いをつけていく。トモが入って中団まで上がったが、馬群の中でゴチャついて下げることになり、結局は後方の追走になった。
コーナーに入ると池添がうながして馬群の中を押し上げにかかる。1番人気になっていたので終いでジッとしているのも難しかったのかもしれないが、道悪の中でこんな競馬をしたら直線で伸びるはずもない。
池添がこれがちょうど1万回目の騎乗だったが、ぶざまな誘導をしてしまった。まあ、「池添はその程度だろう」と言われれば、否定もできない。
直線に向いて追われ、グッとくるところはなかった。残り300mを過ぎて挟まれるシーンがあったが、もう脚はなかった。最終的に11着に終わった。
直線に賭けていれば伸びていた可能性はあるが、それでも厳しかったかもしれない。当日は8キロ減の486キロ。馬格があっても後駆にボリューム感がなくてひ弱く映り、だからゲートでダッシュがつかない。
そもそも新馬とオープンの連勝がスローの中で脚を使ったもので、タフな競馬になって伸びてくるのかわからないところがあった。父がディープインパクト、母がアルゼンチンのGIホースで素質があるのは間違いなく、成長を待ちたい。