高松宮記念につながるスプリント重賞。芝はAコース使用2週目になり、雨が降った影響で稍重の中で争われることになった。
レースを引っ張ったのは、1番人気に推されていた快足馬ハクサンムーン。スピード感ある逃げで絡まれることはなく、テンの3ハロンは11秒7-11秒0-11秒3の34秒0になった。
直線でハクサンが逃げ込むかと思われたところ、最後で脚が上がってしまう。そこを外から鋭くとらえたのがサクラゴスペルだった。なお、後半3ハロンのラップは11秒4-11秒4-11秒9の34秒7となっている。
◆1着 サクラゴスペル(7番人気・12番枠) 戸崎圭太
12番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで戸崎圭太。ゲートの出はまずまずといったところで、戸崎は引っ張りもしないが無理には出さずにタメにかかった。3コーナーでゴチャついてズルッと下がり、中位の後ろの外めを進む形になった。
外めといってもしっかりと前に壁ができていた。少し行きたがってはいたものの、戸崎が慎重に抑えたことで息は入っている感じだった。そして、直線に向いて最外に出して伸ばしにかかった。
シャドーロール着用馬で頭の高いところがあるものの、しっかりと脚を使う。残り200mでハクサンとの差は3馬身以上あったが、そこからも渋太く伸び、ハクサンの脚が止まると勢い良く交わして勝利をものにした。勝ち時計は1分08秒7(稍)で、自身の上がりは34秒2。ラスト1ハロンは11秒4前後で駆けている。
ガッと行ってしまう気性。美浦坂路の最終追いではテンに飛ばして終いバタバタになったが、その前の週にはウッドで大外を回って65秒台の好時計が出ていた。十分に負荷がかかっていて、動ける仕上がりにあった。
戸崎は追い切りで跨っていない。最終追いがチグハグになったことはもちろん確認しているはずで、これまでのレースぶりも見てタメる形をとったのだろう。戸崎自身、しっかりとタメて誘導するケースが多く、それで結果が出ている。オーシャンS当日は、特別戦を3連勝して計5勝を挙げた。
ゴスペルは一昨年に当レースを制し、次走で高松宮記念を4着に健闘した。当然、今年もそのローテーション(レースは中2週で3月29日)。中京は直線に急坂がそびえるタフなコースだが、今回のような競馬ができるなら4着以上があるかもしれない。なお、本番は戸崎から乗り替わる予定で、ジョッキーは決まっていない。
◆2着 ハクサンムーン(1番人気・4番枠) 酒井学
4番枠からのスタート、ヤネは主戦の酒井学。ゲートが開いて一完歩めは速くなかったが、これはいつものことである。しかし、二の脚が抜群で、一気にハナに行って単騎の形を確定させた。
3コーナーを過ぎても競りかけられることはなく、息が入ってスムーズな逃げが打てた。ただ、恵まれたというわけでなく、基本スピードが高いからこそできたものである。馬場は渋っていたわけで、見た目より厳しいペースだったと考えられないこともない。
直線に向いて追われ、ジリジリと後ろを離しにかかる。残り100mを過ぎても2馬身ほどのリードがあって押し切るかと思われたが、最後は脚が上がってゴスペルの強襲を許すこととなった。
栗東の坂路でそれなりの時計が出て動きも悪くなかったが、バリバリと乗り込んでいたわけではなかった。このあと反動が出ずに攻めを強化できるようだと、高松宮記念でも快足を武器に見せ場をつくってくるだろう。
◆3着 ベステゲシェンク(4番人気・13番枠) 柴山雄一
13番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで柴山雄一。ゲートの中で少しうるさく、トモも入らずにヨレてダッシュがつかなかった。後方の追走になり、3コーナーではゴチャついて接触するシーンがあった。
その後はゴスペルを右前に見る形で外で脚をタメていく。4コーナーに来て大外を動かしにかかったが、ここで内のスマートオリオンに寄られ、何度かぶつかってしまった。
それでも気持ちを切らさずに直線で伸びてきた。外からゴスペルに交わされたものの、粘り強く脚を使い、ハクサンにクビまで迫って3着でゴールした。
かなり厳しい競馬になりながら上位に食い込んだのだから価値ある走りだった。柴山はデンと構えて直線に賭ければよかったと思うが、その前のシルクロードSの4着に対して陣営が「大事に乗りすぎた」と話していて、少し早く動いてくれというオーダーが出ていた可能性が高い。
ベステゲシェンク自身は、短い距離を使うようになって伸びに持続力が出るようになった。全姉に1200mで活躍したシュプリームギフトがいて、もともと向いているカテゴリーなのだろう。さらに力をつけてきそうなムードだ。