中山の芝1800mで争われたGII競走。開幕週でAコース使用だったが、当日の午後から雨が降り、稍重の中での戦いになった。稍重といっても、重に近い状態だったと思う。
ハナを奪ったのはタイキパーシヴァル。少し離す形になり、3ハロン通過が37秒5、1000mが61秒9と緩めのペースで流れた。6ハロン目は12秒3で、上がりの3ハロンは12秒2-11秒7-12秒2の36秒1だった。
レースを制圧したのは、4歳世代の牝馬ヌーヴォレコルトだった。古馬の男馬との手合わせは初めてだったが、堂々たるレースぶりで勝利をものにした。中山記念における牝馬のVは、1991年のユキノサンライズ以来で24年ぶりのことだった。
◆1着 ヌーヴォレコルト(3番人気・4番枠) 岩田康誠
4番枠からのスタート、ヤネは主戦の岩田康誠。ゲートが開くと、ポンと抜群のダッシュを見せる。岩田が押して勢いをつけ、内に寄せていった。3番手のインに収まり、左前にロゴタイプがいるという形。出していったこと、流れが緩めだったことで手綱を引っ張りつつの追走になったが、息が入っていないことはない感じだった。
後半のコーナーに入っても抑えつつの手応え。4コーナーでバテたタイキパーシヴァルが下がってきて、これをパスするのに外に出す。外にいたマイネルフロストにぶつかって弾く形になり、岩田の騎乗は強引だった。
この事象に関し、岩田は「十分な間隔がないのに先行馬を追い抜いた」として100,000円の過怠金を課せられている。また、直線も4コーナーの事象と同じ理由で50,000円の過怠金を食らった。
直線に向き、ロゴが内を少し開けていていたので、ラチ沿いの狭いところに突っ込ませる。ヌーヴォは渋太くロゴとの差を詰め、最後でグッと出て勝利をつかんだ。着差はクビで、勝ち時計は1分50秒3(稍)、自身の上がりは35秒6。54キロの斤量利はあったが、渋った馬場の中で力強い走りだった。
昨秋のエリザベス女王杯(2着)以来の実戦だったが、美浦でウッドを中心に熱心に乗り込み、鋭い動きを見せて好仕上がりをアピールしていた。当日は4キロ増の448キロ。見た目にはあまり成長した感じがなかったが、もともと細身の体で、中身が充実していたのだろう。春はヴィクトリアマイル(5月17日)と宝塚記念(6月28日)の2つのGIが目標になる。
◆2着 ロゴタイプ(2番人気・7番枠) C・デムーロ
7番枠からのスタート、ヤネは同馬に跨ってスプリングS勝ちがあるクリスチャン・デムーロ。ゲート内でうるさくしていて軽くアオッて出たが、態勢が整ってスッと行き脚がつき、2番手に上がった。
道中は適度な闘争心を見せて感触の良い追走ぶり。グリップが利いた走りで、道悪も問題なくこなしていた。後半のコーナーも楽な感じで、4コーナーでパーシヴァルがバテて自然と先頭に出た。
直線入り口からクリスチャンが手を動かしていき、直線に向いて本気の追いに入る。ロゴはしっかりと脚を使って離そうとしたが、内の狭いところからヌーヴォが迫ってきて激しい叩き合いが演じられた。最後は少し鈍った感じがあり、そこを前に出られた。
57キロ対54キロでヌーヴォとは3キロの斤量差があった。内容的には互角と言っていいだろう。やはり中山は走るし、今年に入って3走目でもしっかりと結果を出したあたり、体も強くなっている。このあとは放牧に出され、大阪杯(4月5日)から安田記念(6月7日)を目指すことになりそうだ。
◆3着 ステファノス(4番人気・11番枠) シュタルケ
大外11番枠からのスタート、ヤネは3歳時にコンビを組んで毎日杯を3着しているシュタルケ。ゲートの出は五分で、シュタルケが内の各馬の様子をうかがいつつ内に寄せていく。中位の外の追走になったが、大きなコースロスはなかった。
道中の追走ぶりは良く、後半のコーナーはイスラボニータの後ろにつけて、これが行くのを待っている感じ。が、イスラが意外とモタつき、追い出しが遅れて少しを外を回す形になってしまった。
直線は掻き込みが強すぎるぐらいのフットワークになり、シュッは加速しなかった。それでも長く渋太く脚を使い、最後はフロストとイスラを交わして3着に上がった。
昨年の秋に大外16番枠という状況で富士Sを勝ち、久々だった今回も大外枠から好走。攻めが1本足りない感じがあったので、さらに良くなってくるだろう。まだ4歳で、先が非常に楽しみだ。あと、軽めのダートでも走らせると、相当に強そうな気がする。
◆5着 イスラボニータ(1番人気・10番枠) 蛯名正義
10番枠からのスタート、ヤネは主戦の蛯名正義。ゲートの出は上々で、イスラが自然と出ていって好位に上がる。コーナーに入って抑えて引いて5番手の外を進む形になった。
道中は闘争心があるのを抑えつつといった感じで感触は良かった。後半のコーナーもスムーズに走れていた。が、4コーナーに来ると、蛯名の手が動いて少し反応が悪くなった。
地力がある分で直線で何とか2番手に上がったが、そこからギアは上がりそうにない。ロゴとヌーヴォに離されてから頑張りを見せたものの、最後の100mで完全に走りが崩れて5着に落ちた。
ジャパンC(9着)以来で3ヵ月ぶりの実戦。美浦のウッドでなかなかハードに乗られていたが、陣営は「完全には仕上げていない」という感じで話していた。当日は10キロ増の482キロ。ボリューム感が出て逞しい体になっていたが、皮一枚厚い感じがあった。その分で馬場も応えたのだろう。次は本来のイスラを見せてくれるはずだ。