レース回顧 阪急杯

阪神の内回り芝1400mで争われたGIII競走。開幕週でAコース使用だったが、残念ながら相当量の雨が降り、不良馬場の中での戦いになった。

レースを先導したのは、予想通りニホンピロアンバー。テンの3ハロンは12秒2-11秒1-11秒6の34秒9で、これは馬場を考えると厳しい数字と言っていい。その後の3ハロンは12秒1-11秒7-12秒1で、ラストの1ハロンは13秒0もかかった。

勝ったのは直線で外からグイグイ伸びて追い込み切った6歳のダイワマッジョーレ。2着が4歳のミッキーアイルで、1番人気の支持を受けたコパノリチャードは6着に終わっている。

◆1着 ダイワマッジョーレ(2番人気・13番枠) M・デムーロ
13番枠からのスタート、ヤネはテン乗りでミルコ・デムーロ。ゲートが開いてトモの入りがひと息でダッシュが甘く、ミルコも出していかなかったので後方に下がった。

外の追走になったが、致命的なコースロスはなかった。このあたりは道悪を考えてミルコが意識して誘導したものだろう。4コーナーに差しかかって軽くハミをかけにいき、直線入り口から強めに追い出した。

直線では最外をしっかりと伸びて追撃態勢に入った。残り200mで先頭との差は4馬身ほどあったが、前も鈍ってグイグイと差を詰める。最後でミッキーアイルをハナだけ交わしたところがゴールだった。勝ち時計は1分23秒8(不)で、自身の上がりは36秒1だった。

暮れの阪神カップ(3着)以来の実戦だったが、栗東の坂路で意欲的に乗られ、最終追いで自己ベストとなる51秒1をマークして仕上がりの良さが目立っていた。ここまで悪い馬場でどうかと思われたが、道悪で好走歴があったし、56キロの斤量でそう悪くないところを走ったことで脚を使えた。

ミルコはこのレースの日にJRA所属ジョッキーとしてのデビューを飾った。当日は3勝を挙げて重賞も制覇。レベルの高いジョッキーがずっと乗ってくれるというのは、心強いばかりである。マッジョーレの次なる目標は安田記念(6月7日)で、高松宮記念(3月29日)を使う可能性もあるという。

◆2着 ミッキーアイル(4番人気・5番枠) 浜中俊
5番枠からのスタート、ヤネは主戦の浜中俊。ゲートが開いてダッシュがついていたが、戦前に陣営が話していた通り、浜中が手綱を引いて抑えにかかる。ポジションは3番手のイン。やはり行きたがってはいたが、いつもよりはマシだった。58キロを背負って下が渋っているから、さすがにそう行く気にならないだろう。

コーナーのリズムは上々で、直線に向くと外に出してコパノリチャードを後ろをから追いかける。しっかりと伸び、残り200mでリチャードを交わして先頭に立った。

内からはローブティサージュが来ていて、これが抜けにかかる。それでもアイルは粘り強く脚を使い、ローブを交わそうとするところ、最後でマッジョーレが強襲してきてハナだけ差された。

4歳でマッジョーレより2キロ重い58キロを背負っての結果。さらに馬場が渋った中でこれだけ走るのだから強い。同馬の気性を考えると「次も抑えが利いて好走できるだろう」と断言はできないが、その可能性が高くなったのは確実だ。高松宮記念が楽しみである。

◆3着 ローブティサージュ(9番人気・6番枠) 池添謙一
6番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで池添謙一。ゲートの出は上々で、少し力む感じで出ていって流れに乗る。5番手で内めの追走になり、囲まれはせずにロスなく運ぶことができた。

直線に向いて内を捌いて伸び、残り200mを過ぎて勝ち切りそうなシーンをつくった。が、最後で少し鈍った感じになり、外の2頭にやられてしまった。

54キロの利があったといえ、牝馬で価値ある走りだった。さすがはGI馬である。気性面で危ういところがあるが、ウォーエンブレム産駒だから致し方ないだろう。5歳の今年は充実した1年になりそうだ。

◆5着 ダノンシャーク(3番人気・3番枠) 福永祐一
内の3番枠からのスタート、ヤネは同馬に乗って(3.3.2.1)だった福永祐一。ゲートの出は悪くなかったが、行き脚は遅めで中位の少し後ろの馬群の中の追走になった。道中は折り合ってスムーズな追走ぶり。でも、シャークの闘争心を考えると、スムーズだったことに問題があったかもしれない。

コーナーもじっくりとタメ、直線で内めを叩き出す。走路ができていて少し脚を使ったが、重たい走りで推進力は出ず、残り100mを過ぎて完全に止まって5着に終わった。

栗東のCWと坂路で好調教を連発して、仕上がりは良かったと思う。58キロも本来は問題としない。前脚の掻き込みが少ないフットワークで、やはり道悪が応えたのだろう。

◆6着 コパノリチャード(1番人気・9番枠) 武豊
9番枠からのスタート、ヤネは3度目の騎乗となった武豊。ゲートの出は五分で、ユタカがうながして流れに乗せて、次に抑えにかかる。4番手の外の追走になり、道中は抱えつつの手応えだった。

3コーナーを過ぎてもじっくりとタメていて、4コーナーで手を動かして仕掛けて出た。直線に向いてすぐに抜け、ここからギアを上げたいところ。が、少し頭が高くなってグッとは伸びず、残り200mで早くもミッキーに交わされてしまう。少し頑張りを見せたが、脚が上がって最終的に6着に落ちた。

不良馬場で高松宮記念を快勝したように道悪は得意だし、58キロも問題なかったはず。攻めで強く追ったのが1週前と当週の2本だけで急仕上げだったのは否めず、その分で踏ん張れなかったのだろう。これを使って上向いてくるはずで、本番の高松宮記念であらためて期待したい。