府中のダ1600mで争われたGI競走。当日は雨という予報だったが、結局、馬場に影響を与えるような雨が降ることはなく、良馬場の中での戦いになった。凍結防止剤は撒かれておらず、“少し走りやすい”といった感じの馬場状態だった。
ハナを切ると目されていたコーリンベリーが出遅れるという波乱のスタートとなった。代わって先導役を務めたのはアドマイヤロイヤル。前半の3ハロンは12秒3-10秒6-11秒4の34秒3と速い数字になり、4ハロン目から12秒6-13秒1とペースが緩んだ。
上がりの3ハロンは12秒3-11秒5-12秒5の36秒3で、決着時計は1分36秒3になった。そんな競馬の中、5歳のコパノリッキーが勝利を手にしている。昨年はシンガリ16番人気で制し、今年は1番人気で堂々とV。史上初のフェブラリーS連覇になった。
◆1着 コパノリッキー(1番人気・4番枠) 武豊
内めの4番枠からのスタート、ヤネは東海S(1着)に続いて2度目の騎乗となった武豊。いつも通りゲート内で前脚をそろえて踏ん張っていて、ゲートが開くと右にヨレて外と接触してしまう。それでもすぐに態勢が戻り、ユタカも手を押していてダッシュがついた。
ジワッと上がって1ハロンほど行って先頭に出た。コーリンベリーが出遅れていたため、ユタカはやりづらかったと思う。すると外からアドマイヤロイヤルが押してハナを奪いにいき、これをチラッと見て引いて抑えにかかった。
中盤は抱えつつの手応えだったが、行きたがったいうより、ペースが緩んだためろう。コーナーに入ってからもユタカが慎重に手綱を抑えていて、うまくスタミナを残すことができた。
直線に向いて自然と先頭に並び、ロイヤルを交わしてからも楽だった。そして、残り350mのあたりでムチを入れて追いに入った。リッキーはしっかりと後ろを離し、400m~200mのラップは11秒5と速い。200mで勝ちは決まったムードだった。
さすがに100mを過ぎてピッチが落ちたが、大きくバテたわけでない。最後は少し詰め寄られながらも、半馬身で押し切る結果となった。勝ち時計は1分36秒3(良)で、自身の上がりは36秒2だった。
当日は前走比2キロ減の536キロ。調教後の計量で556キロだったから、そこからは20キロも減ったことになる。輸送で何かあったかと心配したが、パドックで見せた姿は合格点をあげられるものだった。
東海Sの時のと比べると、腹回りが少しすっきりしていた。全体にもまだ体を増やす余地があった感じだが、筋肉の付き方は良かったし、しっかりとした歩様でデキの良さをうかがわせていた。
ただ、陣営が考えていた以上に減ってしまったとは思う。「食い込ませて最終的に550キロ台にしたい」と話していて、それが達成できればパフォーマンスはさらに上がってくるかもしれない。
次走は船橋のかしわ記念(5月5日)になり、そのあとの動向は未定。来年にアメリカのブリーダーズCクラシックに挑戦するというプランも挙がっているようだ。今後のさらなる飛躍が楽しみである。
◆2着 インカンテーション(5番人気・14番枠) 内田博幸
外の14番枠からのスタート、ヤネはテン乗りで内田博幸。ゲートの出は上々で、内田が押して流れに乗せていく。内を外をうかがってどこで落ち着かせるか探り、最終的に好位の外というポジションになった。
ペースが緩んだ中盤は引っ張るぐらいの手応えで、コーナーも抑えて脚をタメいく。直線に入ると、リッキーよりも先に追い出しを開始した。
もともとスパッと切れるタイプではなく、リッキーにグッと離されてしまう。それでもジリジリと粘り強く脚を使い、最後はリッキーに半馬身まで迫って2着でゴールした。
外を回って距離損がありながら最後まで脚を使って中身の濃い競馬だった。マイルは久しぶりだったが、極端に軽い馬場にならなければ対応できる。リッキーと同じ5歳世代、こちらもさらにレベルを上げてきそうだ。
◆3着 ベストウォーリア(3番人気・10番枠) 戸崎圭太
10番枠からのスタート、ヤネは主戦の戸崎圭太。ゲートの出は普通だったが、鋭いダッシュを見せて前にいく。インカンの内田と同じように戸崎が内と外を確認してポジションを探り、抑えて下がって中位の外を進む形になった。
中盤は軽く引っ張って抑えていて、これもインカンと一緒。コーナーは外を回り、4コーナーでシルクフォーチュンがマクッてきてくると、これをやりすごした。
直線はインカンの後ろに入り、少し待ってから追い入った。周りが伸びている中でもしっかりと脚を使って差を詰めていく。最後は少し勢いが鈍った感じだったが、3着に上がってゴールした。
チャンピオンズCで11着に敗れたあとは、放牧に出してリフレッシュさせていた。速い時計が1本足りない感じがあり、当日は少し緩い体にも見えたのだが、気力で走るところがあって力を出してきた。府中のマイルは走る。
◆6着 ワイドバッハ(2番人気・11番枠) 蛯名正義
11番枠からのスタート、ヤネは昨秋に同馬に乗ってオープン特別を勝っていた蛯名正義。ゲートの出はいつもほど遅くなく、蛯名が軽く押してうながていく。中位の後ろの後方寄りのポジションになり、適度に気を抜いて脚が溜まっていた。
3コーナーを過ぎて外からジワッと差を詰めていき、ここでの感触はかなり良かった。しかし、4コーナーでフォーチュンがマクッて抜いていって、次にカゼノコが被せてくる。気にしたところがあったか、反応が鈍くなった。
直線に向いてカゼノコの外に出す形になった。態勢が整って追撃を開始したが、ラップが速かった直線半ばではさすがに一気には差が詰まらない。残り200mから追い込むんできたが、いつもほどの爆発力は見られず、6着に上がるにとどまった。
勝負どころがスムーズだったらとは思うが、シュッと加速するタイプではないので、スムーズだったとしてどうなっていたかはわからない。末脚勝負型なので、展開や捌きに結果が左右されるのは致し方ないところ。もう少し長い距離でも問題なく、次走であらためて期待したい。6歳馬でも、まだまだこれからである。