レース回顧 ダイヤモンドS

府中の芝3400mで争われたGIII競走。最終週でDコース使用4週目になり、内めは禿げた状態だった。

序盤で先頭にいたのは4歳のシャンパーニュ。1週目のスタンド前の1000mほど進んだところで離れた外からネオブラックダイヤが抜いていき、以降は同馬がレースを引っ張った。

最初の1000mは61秒9で、ペースを落として次の1000mが65秒8。2000mからの4ハロンは49秒0になり、上がりの3ハロンに入るその次から11秒4と急にピッチが上がった。最後の2ハロンは11秒8-12秒0で、全体の時計は3分31秒9だった。

勝者は1番人気の支持を受けた5歳のフェイムゲーム。4歳だった昨年に55キロで勝ち、1年を経て58キロを背負って連覇を決めた。直線に入り口で残念な事象があったが、強い競馬での勝利だった。

◆1着 フェイムゲーム(1番人気・16番枠) 北村宏司
トップハンデとなる58キロ。大外16番枠からのスタートで、ヤネは昨年も手綱を取っている主戦の北村宏司だった。ゲートが開いてダッシュが甘かったが、これはいつものこと。北村はうながして少し行かせ、同時に内に動かしていった。

道中は中位の後ろの後方寄りといったポジション。内に入れず、外が抜けている状態で、折り合いはスムーズだった。2週目の向正面で外が動いて馬群に入る形になったが、そうタイトではなかった。

3コーナーを過ぎてもじっくりと構え、4コーナーで前が詰まり気味になったので外に出そうとする。大きな動きではなかったのだが、2頭外にいたリキサンステルスが躓いて落馬してしまった。

直線は少し内に戻る形でバラけたところを割りにかかる。しっかりと脚を使って前に迫り、残り200mでネオブラックダイヤとファタモルガーナの間に入った。100mでファタモルガーナの内から先頭に出、グッと抜けて勝負を決めた。

着差は2馬身で、勝ち時計は3分31秒9(良)、自身の上がりは34秒6。ゴールの瞬間はバテておらずに躍動感ある動きをしていて、58キロを背負って3400mの距離を走ってきたことを考えると、異様な強さだった。

次なる目標は天皇賞(春)(5月3日)になる。昨年は勝負どころからモタついて反応が悪くなり、それでも0秒4差の6着まで伸びていた。気を抜く面があるのは確かだが、地力を底上げてしているのは間違いなく、北村はレース後に「ずいぶん気持ちも前に向いてきた」と話している。今の実力で噛み合うようなら、GIでも上位を争えるだろう。

なお、落馬したリキサンステルスに乗っていたのは後藤浩輝。ご存知のように、後藤はやはり落馬事故を起こして頚椎骨折という重傷を負ったことがある。今回は頚椎捻挫という診断。次の日に京都で騎乗して勝ち星を挙げているが、体には気をつけてもらいたいものだ。リキサンは残念ながら予後不良になった。

この事象に関連し、フェイムの北村は騎乗停止処分を受けている。北村は1月11日にも騎乗停止になっていて、過重制裁で今回は期間が開催日6日間になった。

◆2着 ファタモルガーナ(2番人気・15番枠) 戸崎圭太
ハンデは56キロ。外の15番枠からのスタートで、ヤネはステイヤーズS(2着)に続いて2度目の騎乗となった戸崎圭太だった。ゲートの中でうるさくしていたが、上々のスタートを切り、行き脚もスムーズだった。戸崎は手綱を押して少し行かせ、最初のコーナーで内に寄せた。

1週目のスタンド前で外に出て少し気持ちが乗る感じになり、以降は外の追走で好位にいったり、また下がったりを繰り返した。完ぺきなリズムではなかったかもしれないが、同馬の場合は簡単には完全に息が入っていないという状態にならない。あれでスタミナは残せていたのだろう。

4コーナーに来て抑えたまま先頭に並び、直線で戸崎が早めにしごき出す。しかし、少し離れた内でネオブラックダイヤが頑張っていて、抜け出すまではいかなかった。残り200mを過ぎて内から伸びてきたフェイムに交わされ、それでも渋太く脚を使って2着を守った。

祖母はオークス4着のデンコウセッカ。父は長距離系ではないディープインパクトだが、母系の血が出ているのだろう。7歳といっても、数を使っていないセン馬。今後も長距離戦戦をにぎわせてくれそうだ。

◆3着 カムフィー(8番人気・7番枠) 柴田善臣
ハンデは51キロ。7番枠からのスタートで、ヤネはテン乗りで柴田善臣だった。ゲートの出はまずまずといったところで、無理には行かせずに中位の後ろの内めに収まった。

道中は少し気持ちが乗りすぎでハミを噛んでいた。2週目の向正面で馬群の中に入る形になったが、それでもやはり力んでいた。直線は外に出して追いに入る。少し頭が高いところがあるが、渋太く脚を使って最後で3着に上がった。

準オープンからの格上挑戦で、中1週というレース間隔。51キロの利は小さくなかったが、3400mの長丁場で掛かり気味になりながら伸びてきたのだから内容は評価できる。

6歳で若いわけではないが、力むところがあるのは“闘争心がある”ということで好意的にとらえることもできるし、今後が楽しみになった。