小倉の芝1800mで争われたGIII競走。ハンデ戦で6キロの上下差があった。芝は前の週のAコースからBコースに替わっていて、ただ、残念ながら雨が降って重馬場の中での戦いになった。
レースを引っ張ったのはメイショウナルト。3ハロン通過は35秒9で速くはなかったが、カレンブラックヒルに突かれてペースを落とせず、1000m通過が59秒7と馬場を考えると少し厳しい数字になった。
3コーナー前でブラックヒルがナルトを潰して先頭に立ち、そのまま押し切るという結末になった。ブラックヒルは58キロを背負っていて、GI馬の底力を顕示する勝利になった。
◆1着 カレンブラックヒル(3番人気・6番枠) 秋山真一郎
トップハンデとなる58キロ。6番枠からのスタートで、ヤネは主戦の秋山真一郎だった。ゲートの出は普通だったが、二の脚が抜群に速く、ハナに出られるぐらいの勢いになる。外からナルトが主張してきて、これを行かせて2番手に収まった。
後ろからハナノシンノスケが突いてきていて、ナルトにプレッシャーをかける形になった。ナルトは大変だったが、ブラックヒルも楽だったわけではない。
3コーナー前に来て自然とナルトに並び、少し進路を塞ぐ形なりながら抜いて先頭に立つ。1頭になって手応えは楽で、後ろから追撃しようとしたマイネルミラノの方が手が動いていた。
直線に向いて追われると、ジリジリと離して勝負を決めにいく。残り100mで後続との差は3馬身ほど。最後はさすがに疲れて詰め寄られたが、半馬身差で押し切ってみせた。勝ち時計は1分48秒3(重)で、自身の上がりは36秒9。ちなみに、ラスト1ハロンは12秒7かかっている。
3歳時にNHKマイルCでGI制覇を決め、6歳で当レースを制して重賞タイトルは5つ目。ちょっと驚いたのが、パドックで見せた馬体が素晴らしかったことである。もともと良く見せるタイプではあるが、筋肉が隆起していて、それでいて全体にシャープさがあり、いつも以上に迫力がある馬体を誇っていた。このことが58キロを背負っての勝利につながったのは間違いない。
昨年は天皇賞(秋)で逃げて0秒3差の9着とソコソコの走りを見せていて、中距離までこなすようになっている。今年はGIで馬券に絡んでくることがあるかもしれない。春の大目標はマイルの安田記念(6月7日)に置いている。
◆2着 コスモソーンパーク(6番人気・2番枠) 丹内祐次
ハンデは56キロ。内の2番枠からのスタートで、ヤネは同馬に乗って2勝していた丹内祐次だった。ゲートの中で少しうるさくなったところでスタートを切られ、軽くアオッて出てしまう。行き脚も平凡で、後方に置かれた。そして、1コーナーでインに入った。
向正面も中ほどを過ぎると、少し押してその気にさせ、馬群に入る形でポジションを上げる。完全にスイッチを入れたわけではなく、周りの様子を見つつといった感じだった。3コーナー過ぎで少し前が詰まったが、大事には至らなかった。
4コーナーからは走路が開いて、ビッシリと追うことができた。直線に向いてジリジリと伸び、残り200mで2番手に上がる。そこからも渋太く脚を使い、最後は鈍ったブラックヒルに半馬身まで迫って2着で入線した。
7歳の緒戦でオープン特別を勝ち、次走で重賞を2着。冬場で得意の力の要る馬場になりやすくなっていることもあるが、安定して走れているあたり力をつけている。これからも“マイネル・コスモ軍団”らしい、渋い活躍を見せてくれそうだ。
◆3着 ダコール(11番人気・1番枠) 藤岡佑介
ハンデは57キロ。最内1番枠からのスタートで、ヤネはテン乗りで藤岡佑介だった。ゲートの出は上々で、佑介は最初から抑えて脚をタメにかかる。道中はインにこだわり、道悪の中で行きっぷりは良かった。
向正面では抑えたままで、3コーナーを過ぎて外に動かしつつ軽くうながして進出する。そして、直線入り口で大きく大外に出、ラングレーを弾くようにして走路をつくった。
ここで内めを捌く手もあったと思うが、馬場が悪化したことを考えて最初から大外に出す作戦だったのだろう。直線は脚を取られる感じもなく、しっかりと脚を伸ばす。最後まで脚を使い、半馬身+半馬身差の3着に上がった。
以前は少しでも馬場が渋ると動けなくなっていたが、最近は大きく走りが崩れることがなく、気持ちも前向きになって伸びてくるようになった。コスモソーンパークと同じ7歳馬だが、まだまだ頑張ってくれそうだ。
◆7着 ラングレー(1番人気・4番枠) 和田竜二
ハンデは54キロ。内めの4番枠からのスタートで、ヤネはテン乗りで和田竜二だった。ゲートの出は上々で、和田が少し押して流れに乗せる。タテ位置は中位の後ろで、1コーナーで外から寄られて少し引いて外に出した。
向正面はタイトでない馬群に入る形で、追走ぶり悪くなかった。そして、3コーナーを過ぎると、強めに押し、おそらく“見せムチ”も入れて外を上がっていった。
脚を使ってはいたが、一気に上がっていけたわけではない。4コーナーでは走りが崩れ気味で置かれる感じになり、ここでダコールに前に入られた。直線に向いて気力は残っている感じで、少し頑張って7着で入線した。
ディープインパクト産駒でしっかりしていないところがあり、道悪で動けなかった感じである。54キロということがあったが、準オープンを勝ったばかりで1番人気に推されていた。高い期待をかけられるだけの素質があるのは間違いなく、良馬場なら重賞でも通用するだろう。